レオナルド・ダ・ヴィンチとルネサンス

宙組公演『異人たちのルネサンス』—ダ・ヴィンチが描いた記憶—の舞台となるルネサンス期のフィレンツェ。今も残る芸術の傑作が次々に生み出されたルネサンス期とはどんな時代だったのか? その歴史的背景には何があったのか? そして、謎に包まれたレオナルド・ダ・ヴィンチとは……。
観劇をさらにお楽しみいただくために、ルネサンス期のフィレンツェの歴史を紐解き、現在もさまざまな研究がなされているレオナルド・ダ・ヴィンチについて、その一部をご紹介します。   

フィレンツェで花開いたルネサンス芸術

  

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ルネサンス期、フィレンツェはヨーロッパ随一の芸術の都として栄えました。
ルネサンスとは、フランス語で「再生・復活」を意味する、イタリアの都市を中心に14世紀から16世紀にかけて展開された文化運動のこと。神を中心とするそれまでの価値観からの解放と、古代ギリシャ・ローマの人間中心の価値観を目指し、ヨーロッパの学問や芸術に文化革新をもたらしました。

当時、絵画や彫刻の制作は工房の職人たちの仕事で、パトロンの注文を請け負って作品内容も契約で細かく決められていたため、職人に独創性は求められませんでした。
しかし、ルネサンス運動の広がりとともに、感情の表現や、モデルを使ったリアルな身体描写が美術作品に現れはじめます。遠近法が登場し、油彩技法も誕生。職人たちによる個性的で自由な表現が次々に生み出され、芸術作品の市場価値が上がり、一部の職人は芸術家として社会的地位が向上していきました。

盛期ルネサンスのフィレンツェには、今作で真風涼帆が演じるダ・ヴィンチをはじめ、ボッティチェリ、ミケランジェロ、ラファエロといった偉大な芸術家たちがひしめいていました。この時代を代表するダ・ヴィンチの作品は、当時の人びとはもちろん、現在も世界中の人びとを魅了しつづけています。
  

万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチ

  

画像 「最後の晩餐」レオナルド・ダ・ヴィンチ(サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会)

レオナルド・ダ・ヴィンチは1452年、フィレンツェ郊外のヴィンチ村に生まれました。
ダ・ヴィンチとは「ヴィンチ村の(出身の)」という意味で、上流階級しか苗字を持たない当時はこうした呼び名が姓の役割を果たしました。
10代半ば頃、フィレンツェで一、二を争う規模のヴェロッキオの工房に弟子入りします。当時の工房では絵画や彫刻だけでなく金細工や工芸品なども制作され、弟子たちはさまざまな技法を習得する必要がありました。ダ・ヴィンチもそうして後に万能といわれる素養を身につけていったのです。

ダ・ヴィンチの代表作は「モナ・リザ」「最後の晩餐」「ウィトルウィウス的人体図」などですが、現存する絵画作品は15点ほどとごくわずかです。
決まった日数で仕上げることを求められた当時、徹底したリアリズムを追求し、遠近法を導入、天使の翼を実在する鳥の翼のように写実的に描くダ・ヴィンチの、筆を止めて考えこんでは何度も手直しする描き方は異質でした。繊細で精緻な筆と、作品の完成度に対する強いこだわりを持ち、「モナ・リザ」も晩年まで十年以上にわたって筆を加えたといわれています。

また、その観察眼と飽くなき挑戦心は、自然現象の科学的考察や、人体解剖学の追究にも及びました。
現存するダ・ヴィンチの膨大な量の手稿には、兵器や機械のアイデア、運河や建築設計の考察、天文学や物理学、解剖学の研究、遠近法や色彩論など多岐にわたる内容が書きとめられています。
ただ、そのなかで自分自身について語る記述はほとんど見られず、その素顔は謎に包まれています。
  

黄金時代を築いたロレンツォ・デ・メディチ

  

写真    ロレンツォ・デ・メディチ像(ウフィツィ美術館)

ルネサンス初期のイタリアでは東方貿易によって商人層の力が強まり、君主や教会に代わって、メディチ家をはじめとする大商人が新たな文化パトロンとして登場。ルネサンス芸術の発展を後押ししました。銀行家のひとつとして台頭したメディチ家は、三代目の支配者であるロレンツォ・デ・メディチの祖父の代に、実質的なフィレンツェの支配者として昇り詰めました。
特に華やかな時代のフィレンツェの支配者として「イル・マニフィコ(豪華なる人)」と呼ばれたのが、今作で芹香斗亜が演じるロレンツォ・デ・メディチ。
ロレンツォは自ら詩を読む文化人であり、芸術に造詣が深く、ダ・ヴィンチをはじめボッティチェリ、ミケランジェロといったルネサンスを代表する面々をパトロンとして支援しました。また、外交にも長けており、その政治手腕は高く評価され、市民から絶大な支持を得ていました。フィレンツェのルネサンス芸術の黄金時代を象徴する人物といえるでしょう。   




華やかなフィレンツェを舞台に繰り広げられる愛憎。若き芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチが描き、残そうとしたものとは……。演出家・田渕大輔の手によって、ここに新たなダ・ヴィンチの物語が誕生します。宙組公演『異人たちのルネサンス』—ダ・ヴィンチが描いた記憶—、どうぞご期待ください。

  

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