la comedie musicale『A/L(アール)』−怪盗ルパンの青春−

日本青年館大ホール公演

公演期間:4月1日(日)〜4月8日(日)

この公演は終了いたしました(2007年)

出演者主な配役ポスター画像
la comedie musicale
『A/L(アール)』−怪盗ルパンの青春−

作・演出/齋藤吉正

[解 説]
 モーリス・ルブラン著「怪盗紳士」をもとに、文学界が生んだヒーローの一人、アルセーヌ・ルパンの生い立ちから怪盗へと至るまでを描いた冒険活劇。明るく躍動感に溢れ、クラシックな雰囲気が漂うミュージカル作品。
 19世紀末。パリ郊外の城館では、その日も、スーピーズ伯爵夫妻主催の夜会が華やかに催されていた。そこでは彼らの友人が賑やかに集っていた。伯爵夫人が登場すると、客たちの目はその胸元に釘付けとなった。ダイヤモンドが輝く「王妃のネックレス」。マリー・アントワネットの首を飾った伝説のネックレスである。伯爵家の親戚にあたる貴族ローアン枢機卿から譲り受けたという。
 夜会の翌朝、伯爵夫人はネックレスが盗まれたことに気付く。一人息子のラウルと共に城館に身を寄せていた女中のアンリエットが容疑者として浮上するが、結局、事件は迷宮入りする。容疑をかけられたアンリエットとラウルはパリを離れ、それ以来二人の消息を知る者はなかった。
 それから10年。ソルボンヌ大学創立以来の秀才と謳われる青年が、街の話題をさらっていた。その男の名はラウル・バラン。アンリエットの息子ラウル、その人であった。事件後間もなく母親は他界。ラウルは乳母のビクトワールと再会し、彼女の援助で教育を受けた。ビクトワールは作家で、彼女が書いた「怪盗紳士」はベストセラーとなり、その主人公であるアルセーヌ・ルパンは国民的人気を誇っていた。ラウルにはビクトワールにも言えない秘密があった。彼の引き出しにはあの首飾りがあった。10年前の窃盗犯はラウルだったのである。何故彼は盗みを働いたか……。彼の実の父はローアンであった。正妻でないアンリエットのために、ローアンは首飾りを手渡し、スーピーズ伯爵に母子を託しこの世を去った。しかし二人を待っていたのは、宝石に目がくらんだ伯爵夫妻の欲望であった。ラウルの心には、伯爵夫妻への拭いきれない遺恨があった。すべてを察していたアンリエットは「王妃の首飾りはスーピーズ奥様のもの……必ずお返しするのです」という言葉を残して息を引き取る。ラウルはその言葉がずっと気にかかっていた。
 そんなある日、事件は起こった。「怪盗紳士」の発売禁止。スーピーズ伯爵の仕業だった。ビクトワールとアンリエット、ラウル親子の関係を知った伯爵は、未だ首飾りの犯人をアンリエットと信じ込んでおり、盗みを犯す主人公が人々に賞賛されることが許せなかったのだ。この出来事が、ラウルに伯爵夫妻への復讐心を目覚めさせた。「怪盗紳士」を奪い返すため、ラウルはスーピーズ家に挑戦状を送る。「伯爵の宝物アニエス嬢を頂きに参上仕る。怪盗アルセーヌ・ルパン」。ラウルは「怪盗紳士」の主人公アルセーヌ・ルパンとなり、伯爵夫妻に立ち向かうのだった……。