ミュージカル『Kean (キーン)』

日生劇場公演

公演期間:9月1日(土)〜9月23日(日)

この公演は終了いたしました(2007年)

出演者主な配役ポスター画像
ミュージカル
『Kean (キーン)』

Lyrics and Music by Robert Wright and George Forrest
Book by Peter Stone
Based on the comedy by Jean-Paul Sartre,
adapted from the play by Alexandre Dumas
作詞・作曲/ロバート・ライト、ジョージ・フォレスト
脚本/ピーター・ストーン
潤色・演出/谷正純  翻訳/青鹿宏二

[解 説]
 19世紀に実在した天才的なシェイクスピア役者エドモンド・キーンの生涯を取り上げた演劇作品としては、アレクサンドル・デュマの戯曲、さらにそれを翻案したジャン・ポール・サルトル作『キーン〜或いは狂気と天才』があり、これまで日本でも何度か上演されてきました。そのミュージカル版『キーン』は、ボストン、フィラデルフィアでの試演後、1961年11月2日にはブロードウェイで開幕。92回の続演を行い、1962年に閉幕。ブロードウェイの黄金時代を代表する俳優の一人であるアルフレッド・ドレイクが主演。『グランドホテル』で知られるロバート・ライトとジョージ・フォレストのコンビが作詞・作曲、『シュガー』『My One and Only』のピーター・ストーンが台本を手掛けました。19世紀初頭のイギリス演劇界で大スターだったエドモンド・キーンの、一人の男である自分と、役者である自分との狭間で揺れ動く姿を描きます。

  19世紀初頭。ロンドンのドルーリー・レーン劇場では、当代随一のシェイクスピア俳優エドモンド・キーンによる、シェイクスピア劇の連続公演に観衆が押し寄せていた。民衆はキーンを『キング・オブ・ロンドン』と崇め、貴族階級でさえ、主催パーティーにキーンを招待していた。
 だが、人々が求めるのはエドモンド・キーンその人ではなく、キーンが演じる「ハムレット」であり、「ロミオとジュリエット」「オセロー」であり、「マクベス」、キーンが演じる芝居の主人公たちだった。
 常に演じることを強いられるキーンが、唯一、自分自身でいられたのは、プリンス・オブ・ウェールズとの身分を越えた関係に於いてであった。ヘンリー5世とファルスタッフ宜しく、夜毎、下町の酒場で馬鹿騒ぎを続けることで、大道芸人上がりのアイデンティティを確認していたのだ。だが、その為に借金はかさみ、破産の危機に陥っていた。
 そんな友好関係も、デンマーク大使夫人、エレナ・デ・コーバーグ公爵夫人の登場で歪みはじめていた。二人は同時に、エレナを愛してしまったのだ。
 デンマーク大使館での舞踏会がプリンス・オブ・ウェールズを迎え盛大に行われていた。その夜の話題は、ネヴィル卿との結婚前日に婚約者のアンナ・ダンビー嬢が失踪したとの噂だった。アンナはキーンの熱狂的な信者で、キーンの舞台は欠かさず観劇する程だった。「アンナはキーンと逃げた」プリンス・オブ・ウェールズの言葉は、勿論、エレナをキーンから離そうとの悪戯ではあったが、貴族たちの格好の話題となった。
 そんな噂を打ち消そうと舞踏会にやって来たキーンは、身の潔白はアンナ・ダンビーからの手紙に書かれていると、エレナに読んで判断する様に依頼する。噂話の好きな人々の視線を浴びながら、エレナが手紙を読み始めると、そこには、キーンからの愛の言葉が激しく綴られていた。そして、明晩、秘密の扉を使って楽屋に来て欲しいとの言葉が。
 次の日、キーンの楽屋。プリンス・オブ・ウェールズは、個人としてではなく国王の代理として、エレナとの愛を諦めるように説得に来ていた。デンマーク大使夫人との情事は両国の友好を損ねるからとの理由であったが、キーンは頑として受け入れようとはしなかった。
 そんな二人の前に、ヴェールを被った女性が秘密の扉を使って入って来た。これ以上は説得不能と考え、プリンス・オブ・ウェールズは女性に敬意を表し、帰って行く。だが、エレナと思ったその女性は、アンナ・ダンビーであった。
 エレナをめぐってキーンとプリンス・オブ・ウェールズ、アンナをめぐってキーンとネヴィル卿、そしてキーンをめぐってエレナとアンナ、恋の鞘当てはシェイクスピア劇よりも複雑に進行して行く。


“KEAN is presented through special arrangement with Music Theatre International (MTI), 421 West 54th Street, New York, New York 10019 – tel.: (212) 541-4684, www.mtishows.com”