ダンサーが一列になり、つかず離れずの状態で巧みに踊るダンスのことで、ロケットダンスともいいます。一般的にラインダンスのチームは24人や32人など「4」の倍数の人数で編成されますが、1982年にちなんで82人、91人、126人など大人数の公演もありました。全員が一列になり脚を揃え、様々な振付で魅せる脚線美はレビューでも大いに盛り上がる場面。作品ごとに個性の効いたお衣装は、ディテールまでぜひご注目ください。クライマックスで1列に並ぶシーンですが、センターが一番背の高い出演者で両端に行くにしたがって低くなる「中高(なかだか)」と、その反対の「中低(なかひく)」があります。作品によってはロケットボーイと呼ばれる男役が登場し一緒にラインダンスに加わることも。溌剌とした掛け声とキレのあるダンスはフレッシュさ満点です。
大階段からはじまるトップコンビのデュエットダンスは、大注目ポイント。トップコンビの個性が映える趣向を凝らした衣装や振付が印象的です。舞台上に二人きり、スポットライトを一身に浴び、熱い視線と心を通わせた情感たっぷりのダンスはムード満点。中には大階段を使った立体的なダンスや、男役が娘役を持ち上げるリフトなどのダイナミックなダンスが振付に取り入れられる公演もあり、見どころには事欠きません。また、作品によってはトップコンビ以外のデュエットダンスになることもあり、月組公演『ベルサイユのばら−オスカルとアンドレ編−』では、オスカル役の龍真咲さんとアンドレ役の明日海りおさんのお二人によるデュエットダンスでした。
宝塚歌劇といえば、オーケストラによる生演奏も魅力の一つ。1914年の宝塚少女歌劇初演時より、オーケストラ伴奏を使用しています。現在も舞台で使用している音楽は一部を除き、専属のオーケストラによる生演奏。宝塚大劇場と東京宝塚劇場には舞台前面と銀橋の間にオーケストラ・ボックスがあり、出演者と一体となった舞台をお届けします。作品によっては、オーケストラ・ボックスから出演者が登場する!という演出があることも。二階席の一部からはオーケストラ・ボックスの様子も少し眺めることができますよ。
宝塚大劇場と東京宝塚劇場の舞台前面、オーケストラ・ボックスと客席の間には、通路のような仕切り壁のような観客席側に大きく湾曲したエプロン・ステージがあり、「銀橋」と呼ばれています。レビューでは、トップスターをはじめとしてスターが登場するような場面で使われ、出演者をより近くで感じることができます。フィナーレでは「大階段」から降りてきた主な出演者が銀橋に並び、羽根を背負ったトップスターを中心とした大団円を迎えます。
レビュー終盤に舞台にあらわれる大階段。群舞、デュエットダンス、パレードとフィナーレを彩る舞台セットです。現在の宝塚大劇場の大階段は軽合金製で26段。幅は下段14.6m、上段10.3m、高さ4.29m。1段の寸法は、幅(踏み面)23.0cm、高さ(蹴込み)16.5cm。階段上に施された電飾は作品ごとにパターンも異なり、暗がりに広がる光の演出は注目ポイントの一つです。靴のサイズより狭い幅の階段上で群舞やデュエットダンスを披露するには相当な度胸と経験、テクニックが必要。フィナーレに至るまでのレビューの締めくくりを支える大切な存在です。
パレードで出演者全員が手に持つ飾り道具でシャンシャン本体に長いリボンが付いていることが多く、リボンの長さは2.2メートルが基本となっています。デザインは公演毎のオリジナル。電飾付で光るものなど、毎回趣向が凝らされています。「シャンシャン」という名前の由来は1950年8月の『アラビアン・ナイト』のパレードで、出演者の持つ小道具に鈴がついており、その楽しげな音色からきています。公演によっては、シャンシャンの代わりにケーン(ステッキ)や羽根扇を持つ場合もあり、公演の注目ポイントの一つです。
タカラヅカには欠かせない衣装飾り。フィナーレでは主演スターだけでなく、出演者たちが大小様々な羽根飾りをつけることもあります。羽根飾りが大きいのはスターの証し。主にオーストリッチなどの豪華な羽根素材が使用され、トップスターの背負う羽根は全長約2メートル、平均10キロもあります。重いものでは数十キロに及ぶものもあります。