ストーリー

1992年月組公演ポスター
1992年月組公演ポスター

豊かな緑が溢れる森の中。
イングランドの貴族グレイヴィル家が所有するストーン・ステージで開かれる毎年恒例のミッドサマー・イヴ・コンサートのために人々が集まっていた。
ホテル王の息子ダニーと貴族の子息ラリーは当主の孫娘ハーミアに夢中で、ダニーを追いかけるハーミアのいとこヘレンには見向きもしない。
そんな中、突然ストーン・ステージの上で妖精が生まれる。 妖精の名はパック。
妖精王オベロンから妖精が見えるセカンド・サイトを持った人間に見つからないようにと注意を受けたパックだが、人間界に観察に出かけ、そこでセカンド・サイトを持つハーミアと出会い恋に落ちてしまう。
時は流れ…9年後、パックは再びハーミアの前に姿を現すが、大人になりセカンド・サイトを失ったハーミアにはパックの姿は見えないのだった―。

<1992年月組公演 主な配役紹介>

パック[生まれたばかりの妖精。人間を観察に来ている]
涼風真世
ハーミア[グレイヴィル家の孫娘。妖精の存在を信じる美少女]
麻乃佳世
ダニエル(ダニー)[ホテル王の息子。ハーミアに恋している]
久世星佳
ライオネル(ラリー)[貴族の御曹司。ハーミアに恋している]
若央りさ
ボビー[森番の息子。ロックシンガーを目指している]
天海祐希
ヘレン[ハーミアのいとこ。ダニーに恋している]
汐風幸
オベロン[妖精の王]
真織由季
タイテーニア[妖精の女王]
羽根知里

楽曲紹介

ミッドサマー・イヴ 作詞 小池修一郎 作曲 松任谷由実
セカンド・サイトを失ったハーミアに気付いてもらえないことにショックを受けたパックが歌う松任谷由実氏作曲によるテーマ曲。
優しいメロディーにのせて、ハーミアに忘れられてしまった寂しさと、彼女を思うパックの切なさが詰まったナンバー。
また、グレイヴィル家のコンサートでは高校生たちが合唱する曲として様々なアレンジで登場します。
LOVER’S GREEN 作詞 小池修一郎 作曲 吉崎憲治
パックがハーミアを救うために歌われるドラマティックなバラード。
愛するハーミアと森への思いが情感たっぷりにこもった歌声は聴く人の心を揺さぶります。

キーワード

妖精
自然の精霊。いたずらで遊び好きなものとして、西洋の説話・伝説に多く登場し、演劇・詩・絵画などの題材として取り上げられることも多い。イギリスでは先住民族であるケルト人の神話として現代まで息づいている。『PUCK(パック)』では、人間を巻き込んだ騒動を起こす生まれたばかりの妖精パック、妖精の王オベロン、妖精の女王タイテーニア、タイテーニアに仕える妖精たちが登場する。
セカンド・サイト
通常、人間には妖精の姿は見ることのできないが、稀にセカンド・サイトの持ち主がいて、その人には妖精が見えるが大人になるとその能力は消えてしまう。妖精はセカンド・サイトを持った人間に見られたり話しかけたりすると、相手のセカンド・サイトが消えにくくなるため禁止されている。『PUCK(パック)』では、ハーミアだけがこのセカンド・サイトの持ち主だったため、パックの存在に気付き心を通わす。
ミッドサマー
一年間で昼間が最も長い夏至のこと。夏至祭前夜のミッドサマー・イヴには妖精たちが現れ出てくるといわれている。各国で様々な言い伝えがあり、『PUCK(パック)』の舞台イギリスでは夏至祭は男性神と女性神の出会いを祝う意味があるとされ、原作「真夏の夜の夢」の舞台となっているギリシャでは未来の夫の夢を見るといわれている。他にもヨーロッパ各地で縁結びに関係のあるロマンティックな日とされる。
恋の三色スミレ
『PUCK(パック)』では、ヒマラヤの奥地シャングリラに咲くシバ神の花で、この花の滴を眠っている者のまぶたに注ぐと、目覚めて最初に見た人に恋する惚れ薬になるとされる。オベロンがパックにこの魔法の花を取ってこさせ、タイテーニアや森へやってきたダニエルとライオネルに用いて愛の混乱を招く。
真夏の夜の夢(シェイクスピア)
ウィリアム・シェイクスピアによる傑作喜劇。アテネ近くの森で繰りひろげられる妖精と人間のファンタジー作品で、二組の恋人、妖精の王とその妃をめぐって、妖精パックが思わぬ事態を引き起こすロマンティックな夢幻劇。演劇や映画で何度も取り上げられるなどシェイクスピア作品の中でも人気の演目の一つ。『PUCK(パック)』では現代的なアレンジを加え、明るくファンタジックな作品として上演する。