ストーリー

ミュージカル『カリスタの海に抱かれて』

 舞台は地中海で最も美しいとされるカリスタ島。この島に生まれながら、数奇な運命に翻弄され、フランスで育ったシャルルは、カリスタ島を統治するフランス軍将校として、再び故郷に降り立つ。時はフランス革命前夜。シャルルには本国フランスの動乱に乗じて、故郷カリスタ島を独立させたいという密かな野望があった。島のレジスタンスの若者達と信頼をはぐくみ、野望は成就するかに見えたが、島の女アリシアの情熱的な愛がシャルルに向かったことで、歯車は狂い始める。
 男が英雄になれなかったのは、一人の女を愛してしまったから…。愛と友情、そして故郷への想いの狭間で揺れ動く青年の葛藤をリリカルに描いたラブロマン。

作:大石静香氏コメント

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『カリスタの海に抱かれて』を手がけられるにあたっての想い

100周年のレパートリーは伝統ある大作が多かったので、101年目の新生花組の作品としては、新作を出したいと思いました。
舞台となる地中海の美しき島・カリスタは、半世紀に渡るフランスの支配に疲弊しています。カリスタの出身でありながら、フランス軍司令官となって故郷に赴任した青年将校と、独立運動のリーダーとの複雑な友情と、ひとりの娘をめぐる行き場のない三角関係が、切なくお客様の心に響くことを祈ります。独立運動、男の友情、一途な愛、破滅の予感…そして大逆転の結末へと、怒涛の物語をお楽しみいただけたら、と思います。

お客様へのメッセージ

主人公シャルルは、孤独に育ったがゆえに心を解放できない一面、カリスタ人としての命知らずな激しい一面、島の娘アリシアの率直さに戸惑う初心な一面など、複雑で多面的なキャラクターです。明日海りおさんが、この難しい役を立体的に演じてくれると思います。「男役が足りない」と石田先生がおっしゃるくらい、青年の役を沢山作りましたので、そちらもご期待下さい。お手本のない新作に、新生花組が、どのように取り組んでくれるか、お客様とご一緒に、私も楽しみにしています。

演出:石田昌也コメント

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『カリスタの海に抱かれて』演出にあたっての作品の見所

大石静先生には「恋愛」を主軸とした物語を書き下ろして頂きました。地中海の小島が舞台ですから、同じフランス革命を扱った作品でも「やや距離をとった位置から革命を見る!」ディスタンス(距離)が本作の特徴のひとつです。トップスター明日海りお演じるシャルルは、カリスタ人的な無鉄砲さ、フランス士官としての冷静さ、そして・・・武器の扱いには慣れているが女性の扱いには不慣れ、という3つのキャラクター構成が魅力的な主人公。故郷カリスタの独立だけを夢見てきた青年と、島の独立運動に身を投じ恋に無頓着な娘が「出会ってしまった」ことから、おのおのが抱いてきた欲求の「優先順位」に変化をもたらす物語でもあります。お楽しみいただければ幸甚です。

お客様へのメッセージ

101周年の宝塚は4作連続「革命がらみ」。その中で星組トップコンビ退団公演は、座付の柴田先生が脚本、外部の謝先生が演出をご担当。逆に今回の花組トップコンビお披露目公演は、外部の大石静先生の脚本に、不肖・・・座付のワタクシが演出を担当させて頂きます。こんな目に見えにくいところで作品・スタッフ選定に趣向を凝らすのも、宝塚101年目の「挑戦」なのです。まるで大石先生が建築デザイナーとして設計図を描き、イシダはその図面を元に大工さんの仕事、と考え、現場監督に精進いたします。