眠らない男・ナポレオン ―愛と栄光の涯(はて)に― 公演情報

Story

革命後のフランスに台頭したナポレオン・ボナパルトは、コルシカ島の田舎町で下級貴族の家に生まれながら、数々の戦功を立てて、フランス皇帝にまで登り詰めていく。

その才能は少年の頃から発揮されていた。士官学校時代、クラスで行われた雪合戦において、卓越した戦術と陣地構築で、少数の仲間を勝利に導いたのだ。

1789年のフランス革命勃発後、フランス国内は不穏な情勢になっていくが、1794年テルミドールのクーデターによりロベスピエールらジャコバン派が失脚し、軍の総司令官バラスが権力を握るようになる。バラスは反乱勢力を鎮圧するため、その軍事的才能に注目していたナポレオンに指揮権を委ねるが、ナポレオンは手勢約5千の兵力で2万5千を数える反乱軍を見事一日で鎮圧するという、目覚ましい結果を残した。

その後、バラスの夜会に招かれたナポレオンは、子供2人を持つ未亡人でありながら、バラスの愛人として妖艶な魅力を発していたジョセフィーヌに魅了され、押しの一手で結婚までこぎつける。しかしながらイタリア方面軍最高司令官に任命され、新婚3日も経たずイタリアの戦場へと旅立たなければならなかった。

戦場へ赴いてもジョセフィーヌを忘れられずに、毎日毎日情熱的な愛の手紙を送り続けるナポレオンに対し、パリに残ったジョセフィーヌは、騎兵大尉イポリットとのアヴァンチュールにうつつを抜かし、派手な生活を送っていた。

破竹の勢いでイタリア戦の勝利を挙げたナポレオンだが、やがてジョセフィーヌの浮気や不品行を知ることとなり、エジプト遠征から帰還した1799年、離婚を決意する。ところが離婚を切り出したナポレオンに、逆にジョセフィーヌが泣いて許しを乞い、だんだんに立場が逆転していく。

第二次イタリア戦役でも勝利を収めたナポレオンは、国内外でその地位を安定させるため、終身執政=皇帝になることを決意する。1804年、ナポレオン一世としての皇帝戴冠式が、パリのノートルダム大聖堂で挙行された。「一羽の荒鷲」がいよいよ大きく羽ばたくことをナポレオンは実感するが、息子が皇帝になることを反対して、戴冠式をボイコットした母レティツィアを始め、急激な勢いで強引に権力を我が物にしていく姿に疑問を呈する周囲の仲間・閣僚たちは、不安に苛まれるばかりであった。

彼は一体どこまで行ってしまうのだろうか……。

Staff

作・演出
小池修一郎 Profile
作曲
ジェラール・プレスギュルヴィック Profile
音楽監督・編曲
太田 健
編曲
高橋 恵
音楽指揮
佐々田愛一郎(宝塚大劇場)
音楽指揮
西野 淳(東京宝塚劇場)
振付
羽山紀代美
振付
御織ゆみ乃
振付
若央りさ
振付
桜木涼介
装置
大橋泰弘
衣装
有村 淳
照明
勝柴次朗
音響
大坪正仁
映像
奥 秀太郎
歌唱指導
楊 淑美
制作・著作
宝塚歌劇団
主催
阪急電鉄株式会社

Profile

<宝塚歌劇団 演出家> 小池修一郎

東京都出身。1977年、宝塚歌劇団入団。

1986年宝塚バウホール公演『ヴァレンチノ』で演出家デビューし、その完成度の高さで一躍注目を浴びる。

1989年『天使の微笑・悪魔の涙』で宝塚大劇場デビュー。

1991年にはフィッツジェラルド作品の初のミュージカル化『華麗なるギャツビー』で菊田一夫演劇賞を受賞。

1992年シェイクスピアの「真夏の夜の夢」をモチーフにした『PUCK』を手がけ、ミュージカルの醍醐味を味わえるファンタジックな演出が好評を博す。

1996年にはウィーンミュージカル「エリザベート」の日本初演に挑み、黄泉の帝王トートを主役に置き換えるという画期的な潤色・演出で高い評価を得た。1998年の宙組『エリザベート』で讀賣演劇賞優秀演出家賞を受賞。その後も再演を重ね、宝塚歌劇史上に残る名作となる。

外部公演にも活躍の場を広げ、2000年には新演出を加えた東宝ミュージカル「エリザベート」を上演し、毎日芸術賞千田是也賞を受賞。

また2002年にはウィーン発のミュージカル「MOZART!」の演出・訳詞を手がけ、讀賣演劇大賞優秀演出家賞、菊田一夫演劇賞大賞を受賞。

2006年ブロードウェイで活躍する作曲家フランク・ワイルドホーン氏との初コラボレーションによる新作ミュージカル『NEVER SAY GOODBYE』を発表。ファシズムと戦う男女の愛をテーマにした舞台は感動を呼び、文部科学大臣賞を受賞。

2008年、ワイルドホーン氏が作曲を手がけたブロードウェイ・ミュージカル『THE SCARLET PIMPERNEL』を日本初演。冒険活劇としての原作の面白さとナンバーの素晴らしさを存分に生かして絶賛を浴び、讀賣演劇大賞優秀作品賞、菊田一夫演劇賞大賞を受賞。

2009年には韓国の人気ドラマの舞台化『太王四神記』を娯楽性の高い壮大な作品に仕上げて2組で上演。同年、名作映画の世界初のミュージカル化に挑んだ『カサブランカ』では、映画の雰囲気そのままに大人の情熱的なラブストーリーを展開し、高い評価を得た。
これらに月組での『エリザベート』再演、外部公演「キャバレー」を加えた4作品の功績が認められて、菊田一夫演劇賞大賞を受賞。

2010年星組梅田芸術劇場公演と博多座公演において、古典的題材に現代的要素を融合させたフランス発のミュージカル『ロミオとジュリエット』の日本初演を手がけ、スペクタクルな舞台に仕上げて好評を博した。2011年には雪組で再演。
同年、大ヒット映画初のミュージカル化となる『オーシャンズ11』では圧倒的な仕掛けとロマンチックな演出を融合させ、年代を問わず楽しめる娯楽作に仕上げた。

2012年には月組で『ロミオとジュリエット』を再演。また大ベストセラーSF小説のミュージカル化『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』では、複雑な人間ドラマとダイナミックな世界観を巧みに共存させて好評を得た。

2013年には花組で『オーシャンズ11』を、星組で『ロミオとジュリエット』を再演し、共に高い評価を得た。

宝塚歌劇のみならず、現代日本のミュージカル界を代表する演出家として活躍している。



<作曲> ジェラール・プレスギュルヴィック

“音楽と映像の調和”に魅せられたジェラールは、まずは映画界で手腕を発揮する。数多くの短編映画を製作し、映画音楽を作曲。彼が手がけたシャグラン・ダムールの『5 heures du mat』が大いに支持され、後にフレンチ・ポップ界の作詞・作曲を手掛けるように。パトリック・ブリュエル、フローラン・パニー、ミレイユ・マチュー、アンリ・サルヴァドール、リアーヌ・フォリーなど、フランス人歌手たちに数多くの楽曲を提供している。

彼自身の初スペクタクル・ミュージカル作品『ロミオ&ジュリエット』は彼の長きにわたる夢である「プレスギュルヴィックが情熱を注ぐ2つの要素、“戯曲”と“音楽”とをひとつに結びあわせること」を実現。そしてこの二つの結実から驚異的な成功が生み出されることに。2001年1月、パリのパレ・デ・コングレ大劇場初演の『ロミオ&ジュリエット』は、フランスで200万人を動員、CD・DVDは600万枚以上を売り上げ、大ヒットを記録。同様に世界各国でも大成功を収め、全世界で500万人以上を動員、CD・DVDは700万枚以上を売り上げた。

又、2003年に翻案化の権利を取得し、マーガレット・ミッチェルの有名なロングセラー作品『風と共に去りぬ』をミュージカル化。わずか1年で60万人を動員したパリ公演、地方公演での大成功ののち、DVDは数週間にわたって売上No.1を記録した。

現在ジェラール・プレスギュルヴィックは、『ロミオ&ジュリエット』に続くヒット作品として『風と共に去りぬ』の海外公演を計画中。

2010年には、『ロミオ&ジュリエット』の10周年を記念して、パリのパレ・デ・コングレにて凱旋公演を行った。

2014年新作スペクタクル・ミュージカル「ナポレオン」で再び宝塚歌劇団と仕事できることを誇りに思っている。