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『エリザベート ―愛と死の輪舞(ロンド)―』制作発表会レポート

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公演に先立ち、2014年5月14日(水)に東京會舘で制作発表記者会見が開催されました。その模様を一部ご紹介し、公演の魅力に迫ります!

◆楽曲披露

楽曲披露

黄泉の帝王トート役を演じる花組新トップスター・明日海りおとエリザベート役のトップ娘役・蘭乃はなが登場し、『エリザベート』の素晴らしいナンバーの中から、2曲を披露いたしました。
まず、明日海が低音から伸びやかに歌い上げ、続いて蘭乃も加わって美しいハーモニーを奏で、会場は本番さながら熱気に溢れ、早くも息の合ったコンビネーションで魅せました。

  1. ♪「最後のダンス」 明日海りお
  2. ♪「私が踊る時」 明日海りお&蘭乃はな

◆エリザベートを上演するにあたり

小池修一郎

小池修一郎 (宝塚歌劇団 演出家)

 『エリザベート』の上演は、宝塚歌劇では5年ぶりになります。少し久しぶりの上演になりますので、私たちスタッフも、もう一度きちっと思い出して、この作品に向かい合わなければいけないと思っております。
 『エリザベート』は、本場ウィーンで1992年に初演され、少し空いて再演がなされ、上演するたびに、他の国で上演された色々な場面が取り入れられたりして、少しずつ変わってきてはいましたが、2012年の3度目のリバイバルバージョンで、1996年に雪組初演、一路真輝さんのサヨナラ公演として、宝塚歌劇のために提供していただいた「愛と死の輪舞(ロンド)」が、ついに採用されました。

 この作品そのものが、日本と宝塚歌劇だけではなくて、海外でも色々な歴史、変遷を辿っています。
 各国で上演された作品は、それぞれストーリーの解釈や曲順などは違っていたりしますが、それらを観るにつけ、宝塚版は宝塚版の魅力があると感じますので、そこに磨きをかけて、また新たな『エリザベート』を、100周年のこの年にお届けしたいと思います。
 『エリザベート』は、脚本・作詞のミヒャエル・クンツェさんと作曲のシルヴェスター・リーヴァイさんが創り上げられたテキストがありますので、形は決まっていますが、その中で、それぞれ自分なりのアプローチや役づくりをし、この作品を創っていくことによって、色々な見え方をする、とても多面的な作品だと思います。宝塚歌劇で8回目の上演を迎えることができる理由も、演技者によって見え方が違ってくる、そこの面白さだと思います。
 今回、明日海と蘭乃のコンビは、お客様の持っていらっしゃるイメージをいい意味で裏切りたいという方向に向かっていますので、そこを考慮して、お稽古を進めていきたいと思っております。

●明日海りおに対して
2009年月組新人公演で、一度トート役を演じていることもあり、本人は内心ドキドキしているとは思うのですが、大変危なげなく、なかなか堂に入った、自分なりのビジョンを持ってトート役に臨んでくれると思います。
彼女は、どちらかというと少年っぽい、アイドル性が魅力だと思う反面、内側の熱っぽさを外側に出すことができるタイプのスターだと思うので、トート役は艶やかな殺気のあるところがすごく合っていると思います。
彼女のクールに見えて、内側は非常に熱い、籠った情念を出すトートを、とても楽しみしております。
また、歌唱力は元々ありますが、この作品でますます磨きがかかると思いますので、大変期待しています。

●蘭乃はなに対して
彼女が演じるエリザベートは、若いお姫様というだけでなく、結婚や出産を経て、夫婦間の問題、そして親子の問題に悩んでいく、一人の女性としての人生を演ずるので、それを受け入れるだけのキャリアを持っていると思います。彼女本来の清楚な魅力と同時に、そこをすごく楽しみにしています。
また、とても歌唱も安定してきているので、なかなか見応えのあるエリザベートを演じてくれるのではないかと期待しています。

●その他の主な出演者に対して

<フランツ・ヨーゼフ役 専科 北翔海莉
フランツ・ヨーゼフの役は、色々な社会的な責任を負う中で、誰しも感じるであろう苦悩などを全部背負う男性の一生を演じるわけですが、今の彼女であれば、歌も含めて実力が非常にありますし、見事に演じてくれるのではないかと期待しております。

<ルキーニ役 花組 望海風斗
彼女の持つ歌唱力やシャープな演技力が生かされて、大変魅力的で、且つ、色気のあるルキーニが生まれるのではないかと思っております。

<ルドルフ役(役替わり) 花組 芹香斗亜
いま大変伸び盛りのスターなので、彼女が一段、また本格的な男役になっていくプロセスにぴったり合うと思っています。

<ルドルフ役(役替わり) 花組 柚香光
いかにしてルドルフとして、狂気の世界に向かっていくのか、芹香とは違うところから役づくりをしてくれるのではないかと期待しています。

<小池修一郎のちょっと、楽しみポイント>
個性の違う二人のルドルフに対して、明日海トートの対し方も違ってくるでしょうから、トートとルドルフの「闇が広がる」というナンバーがありますが、これは全く違う印象になるのではないかと、とても楽しみにしています。また、役替わりは明日海自身がたくさん経験してきましたが、今度は受ける立場として、いい意味で楽しんで演じてくれたらいいなと思います。

◆公演の意気込み

明日海りお

花組トップスター 明日海りお

幸運なことに『エリザベート』に出演させていただくのは三度目となります。一度目(2005年・月組)はアンサンブルでカフェの男や彫像などの役を、二度目(2009年・月組)は皇太子ルドルフと革命家を役替わりで演じ、三度目の今回はトート閣下をさせていただくことになりました。この『エリザベート』は、作品自体のファンの方もたくさんいらっしゃいますし、皆様よく脚本をご存知ですので、8代目トートをさせていただくということはプレッシャーもあるのですが、花組にとっては2002年の上演から久しぶりの挑戦でもあり、この作品に出演することを夢に見ていた下級生たちもいて、皆すごく楽しみにしています。新生花組の団結力と花組らしいパワーある舞台になればいいなと思っております。

●新生花組で挑むにあたり
大劇場のお披露目公演が『エリザベート』になると伺った時は、本当に感慨深かったです。気負い過ぎず、でも緊張感は失わないようにしつつ、組子のことをもっとよく知って、花組の皆で一丸となり、頑張って行きたいと思います。

●役づくりについて
人はギャップに惹かれると思うので、最近、そのギャップを自分に取り入れてみようとこだわっています。いい意味でお客様を 裏切っていくようなサプライズなど、色々と作戦を練って自分なりのトートを演じたいと思います。また、新人公演(2009年)でトートをさせていただきましたが、その時は抜粋版でカットされてしまったナンバーもありますし、また今回は相手役のエリザベートが蘭乃になり、フランツ・ヨーゼフには専科から北翔さんにご出演いただき、共演する花組の仲間も違って周りの方々とのコンビネーションがガラッと変わりますので、その中で試行錯誤していきながら創り上げたいと思います。

●蘭乃はなに対して
彼女は、宝塚に入るきっかけとなった作品が『エリザベート』と聞いていますので、集大成として、今までの努力や自分なりに磨いてきたものが、今回で花開く様子を傍で見守れて、すごく幸せです。

蘭乃はな

花組トップ娘役 蘭乃はな

初演から18年、多くのお客様に愛されてきたこの作品で、エリザベート役をさせていただくことを大変光栄に思うと同時に大 きな責任を感じております。また、この公演は明日海さんの大劇場トップお披露目公演となりますので、新生花組が素晴らしいスタートを切れますよう、一日一 日を大切に努力を惜しまず、お稽古に励んで参りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

●新生花組で挑むにあたり
初めて新人公演でヒロインをさせていただいたのが、明日海さんの相手役だったので、まるで初恋の方に再会したような気分です。
エリザベート役は一筋縄ではいかないと思いますが、役を深め演じ切ることで、花組を支えることができればいいなと思っております。

●役づくりについて
先日シルヴェスター・リーヴァイさん(本作品の音楽担当)から、エリザベートの魅力は強さの中に脆さがあるところで、彼女のアンバランスさに人は惹かれるから、繊細に、そして大胆に役を創っていって欲しいというお言葉をいただきましたので、丁寧に緻密に創り上げていきたいです。音楽に寄り添い、エリザベートを楽しんで演じられるように、持っていけたらいいなと思っております。

●明日海りおに対して
役に入った瞬間に、すっと周りを引きつけるような集中力のある方だと思います。制作発表会の本番もそう感じましたが、お稽古場から舞台に立った時に、さらに求心力を発揮される方だと思います。

◆公演のポイント

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公演期間中に観客動員数200万人を迎える予定の人気ミュージカル『エリザベート』。宝塚版では、大胆にも“死の影”という抽象的なものを主役に配し、美しい旋律で彩られたミュージカル・ナンバーで、1996年の雪組初演以来、多くの人々を魅了してきました。今回は、宝塚歌劇100周年を記念して上演いたします。

主役の黄泉の帝王を演じるのは、花組新トップスター・明日海りお。定評ある歌唱力と芝居心、中性的な魅力と相まって、今夏、新しいトート閣下が、宝塚歌劇の舞台に降臨することでしょう。
一方、相手役でタイトルロールのエリザベートを演じるのは、花組トップ娘役・蘭乃はな。
制作発表会でも魅せた、明日海と蘭乃のコンビネーションに加え、専科から特別出演の北翔や花組組子の個性豊かな面々で紡ぎ出す本作に、期待が高まります。

新生花組の船出に相応しく壮大なスケールで描かれる、宝塚歌劇花組公演 三井住友VISAカード ミュージカル『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』に、どうぞご期待ください!!


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