制作発表会レポート
9月25日(火)、宝塚歌劇雪組公演 三井住友VISAカード ミュージカル『ファントム』の制作発表会が行われました。
制作発表会には、公演にご協賛いただく、三井住友カード株式会社 代表取締役社長・大西幸彦様、宝塚歌劇団理事長・小川友次、宝塚歌劇団演出家・中村一徳、雪組トップスター・望海風斗、雪組トップ娘役・真彩希帆、彩風咲奈が登壇しました。
珠玉のメロディで描く、感動のミュージカル
ガストン・ルルーの小説「オペラ座の怪人」をもとに、脚本アーサー・コピット、音楽モーリー・イェストンによって1991年に初演。宝塚歌劇では2004年に宙組で上演、心に響く楽曲の数々を散りばめたロマンティックな舞台が高い評価を得て、その後の再演も好評を博し、常に上演希望が寄せられる人気ミュージカルとなりました。伸びやかな歌声に定評のある望海風斗率いる雪組がつくり上げる新たな『ファントム』の世界に、大きな期待が寄せられます。
美しくもミステリアスなパフォーマンス
制作発表会は、『ファントム』のパフォーマンスから始まりました。
壇上に浮かび上がったのは、純白のドレスに身を包んだ真彩希帆。「Home」のメロディに、クリスティーヌの想いを乗せて歌います。
続いてファントムに扮した望海風斗が現れ、クリスティーヌへの慈愛にあふれた歌声で熱唱。真彩の透明感のある歌声と重なり、厚みのあるハーモニーとなって会場を包みました。
続いて披露されたのは、望海による「Where in the world」。ファントムの絶望から希望へとうつろう心情の吐露は、聴く者の心を大きく揺さぶります。
一転して「The Bistro」の軽やかな前奏が流れ、キャリエールに扮した彩風咲奈が爽やかに登場します。望海、真彩も加わって賑やかなパリのビストロを感じさせるナンバーを歌い上げると、今作のアンサンブルの楽しさも予感させ、会場から惜しみない拍手がおくられました。
美しい楽曲に乗せ、さまざまな感情が観る者の心突き動かす感動作『ファントム』。今の雪組ならではの魅力でお送りする名作ミュージカルに、どうぞご期待ください!
- 制作発表会 ムービー
パフォーマンスの後、雪組の望海風斗、真彩希帆、彩風咲奈が意気込みを語りました。
雪組トップスター 望海 風斗【ファントム】
私は花組時代、2度『ファントム』に出演させていただきましたが、初めての出演時から音楽に魅了され、また、この作品ならではの人間模様に心をつかまれ、いつか、できることなら主人公・エリック(ファントム)を演じて彼の心の中を覗いてみたいと思っていました。それは、これまでエリックを演じてこられた先輩がたの歌を聴いたときに、同じ歌でも歌い手によって全く違う感情が見え、もし自分が歌ったらどのような感情が湧き出るのだろうと考えたことがきっかけでした。今回、エリックを演じるという夢が叶うことを大変うれしく思います。
エリックを演じるにあたって大切にしたいのは、“愛”です。仮面で隠した、人に見られたくない部分と、それとは裏腹に人に愛してほしいという気持ちの揺れを、丁寧に演じたいです。
今はお稽古で複雑な譜面と戦う日々ですが、素晴らしい『ファントム』になるように雪組の皆と心を込めてつくっていきたいと思います。
楽曲について
『ファントム』の楽曲の素晴らしさは、曲自体の美しさに加えて、それぞれのナンバーで心が動き、震えることだと感じています。私自身、『ファントム』という作品の楽曲を聴いてとても心を動かされましたので、今度は私たちがお客様の心を動かせるような歌をお届けしたいと思います。作品中のどの曲も好きですが、私が一番心震えるのは、エリックと父親であるキャリエールとのデュエットです。また、クリスティーヌが“顔を見せて”と歌う「My True Love」には、ファントムの“自分の中に隠しているものを見せたい”という願望を呼び起こす力を感じます。その他も、何重にも重なるコーラスの層の厚さを楽しめるのが、このミュージカルの魅力だと思います。
雪組トップ娘役 真彩 希帆【クリスティーヌ・ダーエ】
宝塚歌劇団に入団する前からこの作品の大ファンだったので、今回のお話をいただき、夢のようで、幸せな気持ちでいっぱいです。今は、大好きな楽曲が望海さんをはじめとする雪組生の声によって紡がれていくのをお稽古場で聴き、とても感動しております。“天使の歌声”を持つクリスティーヌの名に恥じぬよう、精一杯お稽古に努めてまいりたいと思います。クリスティーヌの、音楽を愛する心、人を信じる心、エリックに出会い彼の歌声を愛し、彼自身を愛するようになる過程を大切に演じてまいります。
楽曲について
すべての場面で音楽に包まれている感覚を味わうことができるのがこの作品の素晴らしさだと思います。どの曲もつい口ずさんでしまうほど好きで、役の心がダイレクトに紡がれているところに心惹かれます。中でも、互いを想う気持ちが伝わる歌詞もメロディも素敵な、「You are Music」というエリックとのデュエット曲が大好きなので、今回歌わせていただけることをとても光栄に思っております。
雪組 彩風 咲奈【ジェラルド・キャリエール】
『ファントム』を雪組で上演すると伺った時は、望海さんのエリックと真彩のクリスティーヌが見られることを単純に喜んだのですが、私がキャリエール役をさせていただくとお聞きし、身が引き締まる思いがしました。この物語にはキャリエールがエリックに父親だと打ち明けるまでの過程が描かれていますので、心の中の動きを繊細に演じたいです。また、楽曲の良さをお届けすると同時に、エリックとクリスティーヌを見守りながら、作品全体も見守れるような、そんな大きな心でキャリエールを演じたいと思っております。
楽曲について
ワクワクする気持ちやドキドキする気持ち、そして多少の恐れなど、いろいろな気持ちが歌から伝わる作品であり、そこがこのミュージカルの素晴らしいところだと思います。物語の終盤でエリックとキャリエールが二人で歌う場面は、望海さん同様に私も大好きです。これまで上演された公演を観るたびに涙を流した場面ですので、私も心を込めて歌いたいと思います。
『ファントム』の潤色・演出を担当するのは、宝塚歌劇の伝統をくんだ娯楽性の高いオリジナルレビューを得意とする一方で、海外ミュージカルの演出でも手腕を見せ高い評価を得てきた、中村一徳です。4度目の潤色・演出となる『ファントム』を、雪組版ではどのような味付けをするのか、大いに楽しみです。
真っ白な気持ちで新たな『ファントム』を
中村 一徳(潤色・演出)
初演時は、4度もこの作品をさせていただくとは夢にも思っていませんでした。これも、この作品を愛し、ご支持くださった皆様のおかげと感謝しております。
今回もアーサー・コピット氏の脚本、モーリー・イェストン氏の楽曲の素晴らしさをお届けするのはもちろんですが、宝塚歌劇での上演が4度目ということもあり、装置、衣装等の視覚的な演出を全て変えて今の雪組ならではの舞台にしたいと思っております。また、コンセプトはそのままに、団員たちの存在などがもう少し浮き彫りになるような演出を予定しています。
『ファントム』という作品が愛される理由は、脚本や楽曲の魅力はもちろんのこと、一つには、エリック(ファントム)という人物の人間性にもあると思います。光の当たらない地下に住み顔を仮面で隠して、苦悩を抱えて生きていますが、物語の最後に浮かび上がるのは、何事をも受け入れられる彼の心の大きさです。それがお客様に伝わり、共感を覚えてくださるのではないでしょうか。
望海を中心とする現在の雪組は、とても素晴らしい作品をつくり上げてきています。今回のお話をいただいてから、彼女たちでどのような『ファントム』ができるだろうかと思いを馳せながら雪組の舞台を観ていたのですが、とても大きな可能性を含んでいると感じました。そのような雪組生たちと作品をつくらせていただけることを、とても光栄に思います。原点に戻って、真っ白な気持ちでゼロから新たな『ファントム』をつくり上げ、4度目の上演であることに恥じないような作品を目指しますので、どうぞご期待ください。