珠城りょう×中村暁
珠城りょうのラストステージとなるスーパー・ファンタジー『Dream Chaser』の作・演出を担当するのは、これまで数々のショーや芝居を手掛けてきた演出家・中村暁。
スターとして成長していく珠城の姿を、中村は自身の作品を通し、どのように見つめてきたのか、振り返ってみましょう。
『Dance Romanesque(ダンス ロマネスク)』(2011年)
群舞、ストーリー・ダンスほか様々なダンス・スタイルで構成された情熱的で躍動感溢れるショー・スペクタクル。
珠城は月組若手スターの一人として、K-POP風アイドルグループ“月色男子(ツキイロダンシ)”が華やかに歌う場面などで活躍、フレッシュな魅力を振りまいた。
中村暁が語る
珠城は当時からパッと目を惹く存在でしたが、中でも“月色男子”の場面の輝きは強く印象に残っています。下級生の頃から脚光を浴び、大変なこともあったと思いますが、この公演以降に私が月組を担当するたび、着実にステップアップしていることを感じさせてくれて、毎回、彼女の進化を楽しみにしていました。
『CRYSTAL TAKARAZUKA-イメージの結晶-』(2014年・2017年)
「ショーはイメージの結晶」というコンセプトのもと上演された、エネルギッシュなショー・ファンタジー。
2014年の初演で、珠城は若手男役“CRYSTALS”の中心を務めたほか、フィナーレ冒頭の歌唱を任されるなど、多彩な場面で観客を魅了した。2017年には月組トップスターとして、再びこの作品に臨んだ。
中村暁が語る
“CRYSTALS”の場面で、若手男役たちを率いる立場となった珠城に、またひとつ成長の跡を窺い知ることができて嬉しかったですね。フィナーレのなかで、ソロで歌う場面が彼女にとっても思い出深い場面だったようで、2017年の再演時に再び同じ曲を歌ってもらった際にはとても喜んでくれました。
『赤と黒』-原作 スタンダール-(2020年)
1975年初演から再演を重ねてきた、フランスの文豪・スタンダールによる長編小説「赤と黒」が原作のミュージカル作品。
珠城は、野心家の主人公ジュリアン・ソレルの複雑な人物像を丁寧に表現、栄光と挫折の物語をドラマチックに演じた。
中村暁が語る
ジュリアン・ソレルという悩める青年を、自分らしく表現したいという意気込みが、稽古の時から伝わって来ました。そして、その成果を出せた公演だったと思います。再演するにあたり、あらためて創ったフィナーレでは、トップスターの堂々とした風格を見せ、芝居とは異なる側面でも楽しませてくれましたね。
中村が描き出す月組トップスター・珠城りょうの退団公演は、夢を追うひたむきな情熱をテーマにしたスーパー・ファンタジー『Dream Chaser』。珠城率いる月組による煌びやかでゴージャスなステージを、どうぞお楽しみに!