制作発表会レポート
5月31日(水)、宝塚歌劇月組公演 三井住友VISAカード シアター 浪漫活劇(アクション・ロマネスク)『All for One』~ダルタニアンと太陽王~の制作発表会が行われました。
記者会見には、公演にご協賛いただく、三井住友カード株式会社 代表取締役社長・久保健様をはじめ、宝塚歌劇団理事長・小川友次、宝塚歌劇団演出家の小池修一郎、月組トップスター・珠城りょう、月組トップ娘役・愛希れいか、美弥るりか、月城かなとが登壇。さらに公演の魅力を凝縮したパフォーマンスには、月組登壇者に加え、専科の沙央くらま、月組の宇月颯、暁千星も登場し、一足早く三銃士の世界を披露しました。
活気あふれる作品への期待感に包まれた制作発表会の様子をお届けします。
「三銃士」の世界が繰り広げられる、愛と勇気の冒険活劇!
世界の古典・デュマの「三銃士」。『All for One』は、今なお世界中で愛されるこの物語をもとに、小池修一郎が新たな発想で描く浪漫活劇(アクション・ロマネスク)です。ダルタニアン役に珠城りょう、ルイ14世役に愛希れいかを配し、ルイ14世の為に立ち上がるダルタニアンの愛と勇気の冒険を、共に戦う三銃士との友情を交えて壮大なスケールで描き出す『All for One』に、どうぞご期待ください。
ドラマティックなパフォーマンスで広がる活劇の世界
制作発表会では、『All for One』の主題歌にのせて出演者がパフォーマンスを披露しました。
勇壮な楽曲と共に現れたのは、世紀の色男、アラミスに扮した美弥るりかと、沈着冷静なアトス役・宇月颯、大胆不敵なポルトス役・暁千星の三銃士。そして無敵のヒーロー、ダルタニアンに扮した珠城りょうが颯爽と登場すると、銃士隊の絆と正義への情熱を高らかに歌い上げます。
打って変わって、冷酷な空気を漂わせたベルナルド役の月城かなとが登場し、珠城ダルタニアンと一騎打ちの場面に。さらにベルナルドに加担するように、モンパンシエ公爵夫人に扮した妖艶なドレス姿の沙央くらまが現れると、銃士隊への敵対心を露わにします。
緊迫の場面から一変して、黄金の眩い衣装に身を包んだ、ルイ14世役の愛希れいかが登場し、バレエのワンシーンをコミカルに披露。珠城ダルタニアンとの軽妙なやりとりで、会場を魅了しました。
楽曲の中にそれぞれのキャラクターを見せたドラマティックなパフォーマンス。そこに溢れる宝塚歌劇ならではの華やかな空気が、大きな期待へと導きます。
世界中で今もなお愛され続ける「三銃士」の世界に、前作の宝塚大劇場・東京宝塚劇場公演『グランドホテル』『カルーセル輪舞曲(ロンド)』で好発進を見せた、珠城を中心としたフレッシュな月組が挑みます。息の合ったエネルギッシュな舞台を、どうぞお楽しみください!
- 制作発表会 ムービー
パフォーマンスの後、珠城りょう、愛希れいか、美弥るりか、月城かなとが公演にかける意気込みを語りました。
月組トップスター 珠城りょう
「ご縁ある小池先生の新たなオリジナル作品に出演させていただけることを、大変嬉しく思います。私はもともと冒険活劇が大好きなので、その中でも“三銃士”という作品で、ダルタニアン役をさせていただくことに、今からとてもワクワクしております。先ほど、パフォーマンスを披露させていただきましたが、最初に音楽を聴いただけでも気持ちが高揚しました。歌詞や音楽の方向性も希望に満ち溢れていますので、それが“All for one, One for all”、つまり自分のためではなく誰かのために、皆の幸せのために力を合わせよう、というこの作品の大きなテーマを表現して、観に来てくださるお客様に強いメッセージをお届けできるのではないかと感じました。また、私と愛希、そして今の月組だからこそできる作品になると思いますので、楽しみにしていただきたいです。すっきり爽快感のあるパワフルな舞台をお届けしたいと思っております。」
月組トップ娘役 愛希れいか
「今回、ルイ14世という新たな役に挑戦させていただけますこと、今は“どうなるのだろう”という緊張感もありますが、ワクワクという気持ちもあり、とても嬉しく光栄に感じております。私は初観劇が小池先生の作品で、それが入団のきっかけになりましたので、先生の作品にこうして再び出演できることを、とても幸せに思います。そして、本日パフォーマンスを披露させていただいて、作品全体がとてもファンタジックな世界観になるのではないかと、さらに期待が膨らみました。たくさんのお客様に、夢と希望を、そしてワクワクしていただけるような舞台にできるよう精一杯務めますので、どうぞよろしくお願いいたします。」
月組 美弥るりか
「アラミスは“世紀の色男”でありながら宗教家でもあるという、二面性のある人物ですので、私が持っている以上のパワーが出せるように、一生懸命取り組んでいきたいです。これまで小池先生の作品では“悪”に属するような役を演じることが多かったので、今作ではダルタニアンと共に正義として悪に立ち向かう役をいただけた驚きもありましたが、今は新境地の役を演じることがとても楽しみです。今回、珠城がトップになって2作目の宝塚大劇場・東京宝塚劇場公演となり、また月城が組替えをしてきまして、月組は今エネルギーに満ち溢れた、とても良い状態でこの作品に挑めると感じております。皆様に楽しんでいただける舞台を目指して、精進してまいります。」
月組 月城かなと
「小池先生の作品、『るろうに剣心』で演じた四乃森蒼紫という役は、自分の中でとても大きなターニングポイントになりました。小池先生のお稽古は、とても緊張感があり厳しいのですが、公演が終わった時には必ず手応えを感じますので、今回も少しでも成長できるように臨みたいと思います。そして、私にとって月組に組替えして初めての宝塚大劇場・東京宝塚劇場公演となりますので、珠城さん率いる月組の空気をしっかりと感じて、皆様に楽しんでいただける作品になるように精一杯頑張りたいと思います。」
『All for One』の脚本・演出を担当するのは、数々の名作を生み出し続ける、小池修一郎。『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』や『THE SCARLET PIMPERNEL(スカーレット ピンパーネル)』などの海外ミュージカルの潤色・演出から、映画をもとにした『カサブランカ』『オーシャンズ11』、人気漫画を舞台化した『るろうに剣心』まで、多種多様なジャンルを、宝塚歌劇らしい新たな作品として描きだし、見事に成功に導いてきました。今回は、世界中で長く愛され続ける「三銃士」をどのように宝塚歌劇と融合させてくれるか、期待が膨らみます。
エンターテインメント性の高い楽しい作品に
小池 修一郎
「そもそも“三銃士”は、実在の人物なので、それを後世に伝えた人がいて、そこに着想を得たアレクサンドル・デュマが物語として、世に送り出したわけです。今回の作品は、デュマの“三銃士”をベースにしておりますが、時代設定なども含めて自由な発想で描くことで、よりエンターテインメント性の高い作品にできればと考えています。月組トップ娘役の愛希れいかは私の作品『エクスカリバー』を子供の頃に観て、宝塚に入りたいと思ったと聞いています。彼女のように、宝塚歌劇を志す年代の少女たちが夢や希望を持てるような要素もありつつ、今回は幅広い世代の方に、ご観劇後はウキウキした気持ちで帰っていただけるような娯楽として、単純に楽しい作品にしたいと思います。
今回の主人公、ダルタニアンを演じる珠城りょうは、これまで重責を果たす役どころが多かったのですが、彼女は非常におおらかなオーラを持ったスターですので、ダルタニアンという役で伸び伸びとした魅力を発揮してもらいたいですね。愛希れいかには今回、ルイ14世を演じてもらいます。皆様ご存知の“鉄仮面伝説”を取り入れた場面もありますので、その辺りにも注目してください。美弥るりかが演じるのは、“世紀の色男”アラミスです。もちろん、宗教家という一面もありますが、彼女ならではの色気をお見せする場面も考えていますので、ぜひお楽しみに(笑)。月城かなとが演じるベルナルドは、いわゆる敵役です。勧善懲悪の物語の中で、社会性を帯びた悪にならないように楽しんで“悪”に徹してほしいと思います。珠城がトップに就任して宝塚大劇場・東京宝塚劇場公演の2作目、そして月城が加わり、また新しい月組の体制となりました。そんな中で、“All for one, One for all”という言葉がこれからの月組の目指すところとなるように、結束した力を見せてくれると期待しています。」