制作発表会レポート
1月16日(月)、宝塚歌劇雪組公演 かんぽ生命 ドリームシアター ミュージカル・コメディ『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)』、かんぽ生命 ドリームシアター Show Spirit『Dramatic “S”!』の制作発表会が行われました。
感動的な舞台で観客を魅了してきた雪組トップコンビの早霧せいな、咲妃みゆの退団公演となる両作品ですが、時には会場に笑いも起こる和やかな制作発表会となりました。
公演にご協賛をいただく、株式会社かんぽ生命保険 取締役兼代表執行役社長・石井雅実様、宝塚歌劇団理事長・小川友次、演出家の中村一徳と小柳奈穂子、雪組トップスター・早霧せいな、雪組トップ娘役・咲妃みゆ、望海風斗の登壇によって行われた制作発表会の様子をお届けします。
早霧・咲妃コンビのラストステージは心躍る豪華二本立て!
『幕末太陽傳』は1957年、鬼才・川島雄三監督により制作された、日本映画史に燦然と輝く名作を舞台化するものです。「居残り佐平次」を中心に、「品川心中」、「三枚起請」、「お見立て」他の古典落語を組み合わせ、実在した品川の遊廓・相模屋を舞台に起こる様々な人間模様を軽妙なタッチで描くこの名作を、早霧、咲妃、望海らを中心とする息の合った雪組メンバーがどう見せてくれるか、期待が高まります。
『Dramatic “S”!』は、“S”をキーワードに繰り広げる、Song&dancing Show。ショースター(Show Star)として輝き(Splendor)を放つ早霧せいな(Seina Sagiri)率いる雪組(Snow troupe)の魅力を最大限詰め込んだショーシーン(Show Scene)の数々をお届けいたします。また、宝塚大劇場公演は第103期初舞台生のお披露目となり、公演を更に盛り立ててくれるでしょう。
早霧の退団に向けてよりいっそう団結力を増した雪組が挑む、豪華二本立ての公演にどうぞご期待ください。
一瞬にして作品の世界に引き込む表現豊かなパフォーマンス
制作発表会は『幕末太陽傳』のパフォーマンスから始まりました。
コミカルな音楽に乗せ、主人公の佐平次の扮装で現れた早霧せいなは、身のこなしも美しく、今回のミュージカル化にあたり作られたオリジナル曲「居残り稼業」をのびやかに歌い、“ミュージカル・コメディ”に相応しい世界観を創り出します。
しっとりしたムードに一転すると、幕末の志士・高杉晋作に扮した望海風斗が登場、続いて艶やかな出で立ちで女郎・おそめ役に扮した咲妃みゆも加わると、三人で劇中歌「朝陽の向こう」を情感たっぷりに歌い上げ、会場を作品の色に染め上げました。
息の合った演技で数々の話題作に取り組み、記憶に残る舞台を創り続けてきた早霧と咲妃。二人のラストステージは、生への活力が漲る中に愁いを漂わせる人情喜劇『幕末太陽傳』、そして雪組のパワー全開のショー『Dramatic “S”!』の二本立てです。どうぞお見逃しなく!
- 制作発表会 ムービー
パフォーマンス終了後、雪組の早霧せいな、咲妃みゆ、望海風斗の3名が作品にかける意気込みを語りました。
雪組トップスター 早霧 せいな
雪組の皆と心を一つにして
「上演が決まって映画の「幕末太陽傳」を初めて拝見した時、佐平次という役を私が演じられるのだろうかと不安を抱きました。しかし、お話はとても面白く、これに宝塚歌劇らしさ、華やかさ、そして雪組らしさが加わればきっとお客様に喜んでいただける作品になるのではないかと思うようになりました。それには、私が演じる“居残り佐平次”という人物がいかに皆様に愛されるキャラクターになれるかが芯になると思います。羽織などの小道具を駆使しながら試行錯誤して“魅せるお芝居”ができればいいなと思っております。ショーでは、場面ごとに七変化しながらお客様にいろいろな顔をお見せしたいですね。やはり私にとって宝塚歌劇での最後の公演ということで気持ちも高まっていくと思いますので、その気持ちを大切に、雪組のみんなと心を一つにしてお客様にお届けしたいです。」
雪組トップ娘役 咲妃 みゆ
パワーと率直な思いを伝えたい
「『幕末太陽傳』では女郎おそめ役を演じさせていただきます。妍を競える女郎になれるよう、色っぽい女性を丁寧に役作りしていきたいと思います。私は、皆で創り上げることがショーの魅力の一つだと思っていますので、『Dramatic “S”!』では、その過程で得たパワーと、私自身が感じた率直な思いをお客様にお届けしたいと思っております。」
雪組 望海 風斗
まだまだ勉強中の身。一歩ずつ進みたい
「雪組に組替えになって以来、いくつかの日本物の作品に出演させていただきましたが、今回、高杉晋作という役を演じるにあたり、まだまだ勉強中の身であることを実感しております。早霧さんをはじめ、上級生から下級生に至る全ての皆さんに教えをいただきながら、一歩ずつ上達していけたらと思っております。ショーでは、自分自身と向き合い、戦って、どんどん自分を高めていきたいです。ショーの魅力はお客様との心の距離感がグッと近くなることにあると感じていますので、公演が始まってからは、お客様が楽しんでくださる様子を肌に感じながら、私自身も楽しみたいです。」
ミュージカル・コメディ『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)』を演出するのは、デビュー以来、様々なジャンルの作品に挑み続ける小柳奈穂子。観客の心を掴む“技”に長けた演出に定評のある小柳が、幕末という時代を背景にいかにコミカルな世界を展開するか、興味が集まります。2015年『ルパン三世 —王妃の首飾りを追え!—』で、早霧せいな率いる雪組の個性を既に把握しているのも頼もしいところ。更なる魅力を引き出してくれることが大いに期待できます。
小柳 奈穂子(『幕末太陽傳』担当)
雪組らしく“明るく爽やかに面白く”
「早霧の新人公演初主演作品『NEVER SAY GOODBYE』(2006年宙組)以来、宝塚大劇場・東京宝塚劇場のトップお披露目公演『ルパン三世 —王妃の首飾りを追え!—』も担当させていただき、彼女とは縁があるのですが、今とても勢いがある中での退団公演の脚本・演出を担当できることを、大変光栄に思っております。また、川島雄三監督の作品は子供の頃から馴染みがあり全作見たほど好きでしたので、この度作品を担当するご縁をいただいて喜びを感じています。今の雪組らしく“明るく爽やかに面白く”ということを最後まで貫いて、楽しんでいただける作品をお届けしたいです。早霧には役者としての“欲”とも言える役者魂がありますので、私も宝塚歌劇をもっと面白く出来る可能性を追求して、手加減や妥協することなく、作品のクオリティを高めたいと思っております。」
Show Spirit『Dramatic “S”!』を演出するのは、海外ミュージカルからオリジナルレビューまで幅広いジャンルを手掛け守備範囲の広さを誇る、中村一徳。中でもレビューにおいては、世代を問わず楽しめる娯楽性の高い作品を精力的に生み出しています。新たな着眼点から輝きを放つ早霧率いる雪組の魅力を、さらに開花させてくれることでしょう。
中村 一徳(『Dramatic “S”!』担当)
人柄を表す温かい作品を雪組全員で
「早霧とは、前任トップスター・壮一帆の退団公演以来の縁です。プレッシャーも大きかったでしょうが、良い形でバトンを受け、持ち前の人柄、人徳で雪組だけでなく宝塚歌劇全体を引っ張る素晴らしいトップスターになってくれました。私が思う早霧の魅力は一言で言うと“人を幸せにしてくれる”ということです。実はとても繊細なのですが、舞台に上がるととても明るく、シャープでありながらダイナミックで……。そんな彼女の人となりと、彼女に真摯に寄り添う咲妃みゆのコンビネーションの良さが出る、温かい作品にしたいですね。また、『Shining Rhythm!』(2012年雪組)や『My Dream TAKARAZUKA』(2014年雪組)で、早霧が芯となる印象的な場面を担当してくださったBryant Baldwin先生の振付も今回予定しています。一幕で上演する日本物のコメディであるお芝居と対照的な洋物のショーを、雪組全員で創り上げていこうと思いますので、どうぞご期待ください。」