ストーリー

オーストリア帝国ハプスブルク家の女帝マリア・テレジアの末娘マリー・アントワネットは、フランス・ブルボン家の王太子ルイ(後のルイ16世)のもとへ輿入れする。
華やかな宮廷生活を送りながらも、アントワネットは孤独と虚しさに苛まれていた。
そんな毎日の中、アントワネットはオペラ座の仮面舞踏会で、スウェーデンの貴族フェルゼンと出会う。
知的で凛々しいフェルゼンとアントワネットは運命的な恋に落ちる。
そしてまた、王妃付き近衛隊隊長を務める男装の麗人オスカルも、叶わぬ恋と知りながら、密かにフェルゼンに想いを寄せるのだった。
フェルゼンとアントワネットは密かに逢瀬を重ねる。
お洒落で遊び好きなアントワネットの浪費振りは財政難に拍車をかけ、国庫は危機に陥っていた。その上、王妃とフェルゼンの不倫の恋。
民衆はアントワネットを憎悪し、各地で暴動を起こしていた。
オスカルは、フェルゼンをスウェーデンに帰すようアントワネットに進言する。
しかしアントワネットは、フェルゼンと離れることはできないと激しい恋心を吐露する。
アントワネットの後見人であるメルシー伯爵は、王妃の名誉を守る為にも別れて欲しいとフェルゼンに懇願する。
フェルゼンは断腸の思いで帰国を決意する。
一方、幼い頃からオスカルだけを愛してきたアンドレは、自分の気持ちを抑えつつ、フェルゼンを慕うオスカルを見守っていた。フェルゼンは、オスカルを守ってやるのは君の役目だとアンドレに言い残し、スウェーデンへと旅立って行く。

オスカルは、暴動が革命の様相を見せ始めたことから、近衛隊から衛兵隊に移り、フランスをこの動乱から救おうとする。
しかしその思いも虚しく、衛兵隊にパリ出動の命令が下る。
出動前夜、オスカルは幼い頃から共に育ち自分を愛し続けてくれたアンドレの愛を受け入れる。1789年7月14日、オスカルは民衆と共にバスティーユに向けて進軍する決意をする。
しかし、その戦いの中で、アンドレ共々、銃弾に倒れるのだった。

スウェーデンに戻ったフェルゼンのもとを近衛少佐ジェローデルが訪れる。
王宮の危機を聞かされたフェルゼンは愕然とするが、王家一家救出の為、再びフランスへ行くことを決意する。しかし、時既に遅く、アントワネットはコンシェルジュリーの牢獄に幽閉されていた。
牢獄に忍び入るフェルゼン。
思いがけない再会にアントワネットは嬉しさを噛みしめるが、フェルゼンの深い愛に感謝しながらも、フランスの王妃として立派に死ぬ覚悟であることを告げる。
生涯かけて愛した女性が断頭台に向かう後ろ姿を見送りながら、深い悲しみに耐え、フェルゼンは呟く。
「王妃様、あなたは私の胸の中にいつまでも生きています。
あのベルサイユに咲く紅薔薇のように……」。

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