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演出家コメント

  • 演出家 小柳奈穂子による見どころのご紹介
  • 演出家 三木章雄による楽しみ方のご紹介

演出家 三木章雄が語る『ファンシー・ガイ! 』 の楽しみ方

宝塚歌劇といえば、華やかなショーが魅力の一つ。長きにわたりその魅力を創り続けている演出家 三木章雄が、NTT東日本・NTT西日本フレッツシアター ファンタスティック・ショー『ファンシー・ガイ!』を最大限に楽しむためのポイントをお届けします。

演出家 三木章雄
▲宝塚歌劇団 演出家 三木章雄

「ファンシー・ガイ!」に込めた思い

<情熱的な2人、早霧せいな・咲妃みゆだからこそ実現できる作品>

――雪組トップスター・早霧せいな、雪組トップ娘役・咲妃みゆの魅力とは?

三木 今回、ショーのタイトルにつけた“ガイ”という言葉は、紳士的な男というより、もっと男くさくて強い男のことを意味します。早霧は、本質的な部分で情熱的。男くささを表現するときに輝くのではないかと思って、こういうタイトルにしました。

咲妃は可愛らしくて華奢なタイプに見えるのですが、持っているものはとても強いですね。舞台に上がると豹変する部分がある。早霧は長崎県出身、咲妃は宮崎県出身ということで、独特の強さがありますね。実は、タカラヅカは代々、九州出身のスターが多いんですよ。非常にいいコンビだと思います。

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▲新生雪組トップコンビ、早霧せいな(右)・咲妃みゆ(左)/『My Dream TAKARAZUKA』(2014年)

早霧がダイナミックに変化する“今”を見てほしい

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▲『My Dream TAKARAZUKA』(2014年)

――ショーの見どころは?

三木 人は立場によって変化しますが、タカラジェンヌが一番変化するのはトップスターになるときなんです。早霧にとっては、まさに今ですね。お客様は早霧の良さをよく知っていると思いますが、それを上回る何かが飛び出してくる時期です。今なら早霧が、更にダイナミックに変化していく瞬間を必ず見られます。長く彼女を見ているファンの人たちにとっても、今が一番面白いと思いますよ。

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▲『My Dream TAKARAZUKA』(2014年)

――「新生雪組」の大劇場お披露目公演でもありますが、演出プランは?

三木 トップスターが代替わりするということは、他のメンバーもそれぞれ立場が上がるということです。そのときに自分がどれだけステップアップできるかが勝負ですし、演出側はそれをどれだけ引っ張り出すことができるかが大切だと思います。早霧を中心に、全員が昨日の自分より一歩高みに上がることを意識してその責任を果たせば、自ずと新生雪組が見えてくるでしょう。

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観客をわがままに振り回すのがトップスター

――今まで演出した作品タイトルに何度か「ファンシー」という言葉を使われていますが?

三木 ファンシーというと、可愛らしいイメージを表す言葉だと思われていますが、調べてみると「気ままに」「自由に」「わがままに」という意味もあります。舞台に出る側がそういう精神を持っていると、見る側は楽しいと思います。タカラヅカのトップスターには、見ているお客様をグイグイ引っ張ったり、手のひらに乗せて転がしたりするような部分が絶対に必要なんです。

宝塚歌劇らしさを体現する、ショーのみどころ

宝塚歌劇のショーは「万華鏡」であり「ジェットコースター」

――宝塚歌劇のショーの醍醐味は?

三木 よく例えられるのは「万華鏡」です。万華鏡をぐるぐる回すと、とても美しいのですが、二度と同じ模様は見られません。ショーもプロローグからフィナーレまで次々と展開していって、気が付いたら終わっている。僕は花火のようでもあると思っています。起承転結にこだわらず次々と打ちあがって美しさを見せると、一瞬にして終わる。

もしくは、振り回されている間に終わる「ジェットコースター」かもしれません。そういうことを表現したいと思っているのが宝塚歌劇のショーなんです。純粋な喜びや純粋なスリルを表現するためのショー。お客様を別世界に連れて行くことができたら、我々としては最高だと思います。

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▲『CONGRATULATIONS 宝塚!!』(2013年)

観客をわがままに振り回すのがトップスター

――ショーの中で見逃してはいけないポイントは?

三木 まず、トップスターが登場する瞬間を見逃さないでほしいですね。舞台上のピンスポットで浮かび上がるのか、舞台にせり上がってくるのか、いろいろな登場の仕方はありますが、出てくる瞬間のスターの気迫、お客様を引っ張り込もうとする表情に注目してください。

あと、終わる瞬間にも注目です。舞台上がだんだん暗くなっていき、最後にピンスポットがあたっているスターの顔が残って真っ暗になる。これをスポットアウトと言います。ピンスポットが消える瞬間、スターがどんな表情をしているかを見てください。そこで気を抜くスターは一人もいません。実はこのラストの瞬間がクライマックスなんです。

スポットアウトのとき、スターが引きつけるすごいイイ表情をしているとなかなか照明を消すことができません。初日から千秋楽に向かって、消える時間が少しずつ長くなることもあります(笑)。わずか数秒でも照明スタッフに「もっと長く見せたい」と思わせるのがスターの力なんです。早霧がどんな表情で舞台に現れ、どんな表情で去っていくか、そこに注目してください。

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▲『CONGRATULATIONS 宝塚!!』(2013年)

トップスター・早霧せいなを中心とした新生雪組が創り出す、みどころたっぷりのNTT東日本・NTT西日本フレッツシアター ファンタスティック・ショー『ファンシー・ガイ!』。どうぞお楽しみに。

 

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