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演出家 小柳奈穂子が語る『ルパン三世 ―王妃の首飾りを追え!―』 の見どころ

「ルパン三世」を宝塚歌劇の舞台で上演することの意味、演出での工夫、出演者の魅力について、演出家 小柳奈穂子が語ります。

演出家 小柳奈穂子
▲宝塚歌劇団 演出家 小柳奈穂子

ルパン三世らしさをどう実現するか?

――ルパン三世役の早霧せいなとは、役作りについてどんな話を?

小柳 アニメ「ルパン三世」の形を忠実に再現することは不可能なので、ポスター撮影のときに、「髪がサラサラなのはないよね」「ジャケットの色は赤以外はないよね」と、「これはルパンではない」という部分を省いていきました。

(制作発表会のパフォーマンスで)最初、動きはちょっとゆるい感じにするよう注文しましたが、あまり余裕を見せすぎると泥棒に見えなくなるので、ガツガツ行くような闘争心があったほうがいいのではないかと話しました。

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▲宝塚歌劇らしい「ルパン三世」の姿に。動きの軽やかさもみどころ
(ルパン三世役 早霧せいな(左)、マリー・アントワネット役 咲妃みゆ(右))

「ルパン三世」と「宝塚歌劇」、共通点と違いは?

――「ルパン三世」と「宝塚歌劇」、共通点と異なる点は?

小柳 宝塚歌劇で「ルパン三世」を上演することに驚く方も多いでしょうが、私は“「ルパン三世」的なるもの”と宝塚には共通しているものが多いと思っています。

まず、「宝塚歌劇」も「ルパン三世」も、とても音楽的だと思います。「ルパン三世」はテーマソングとセットで覚えていたり、作品の中でも常にソウルやファンク、ジャズが流れていたりしますよね。今回の舞台では大野雄二さんの音楽を使わせていただきますが、今回のパフォーマンスでも違和感はありませんでした。

西洋志向という部分も共通点です。「ルパン三世」はとてもスタイリッシュで無国籍ですが、宝塚歌劇も創立以来、西洋のテーマを取り入れて上演することが多いので、そこも共通していると思います。

違う部分は、タカラヅカは男役のビジュアルの美しさを狙うことができる点です。「ルパン三世」には、飾りをなくした男っぽさ、骨っぽさ、“イケメン”じゃないカッコよさがあります。一方、タカラヅカには飾っていくカッコよさがあります。

「ルパン三世」のいい部分を残しながら、宝塚歌劇としてお客様に満足していただくにはどうすればいいかを考えたとき、私たちの庭ともいえるフランスを舞台にすれば、宝塚らしいルパンが創れると思いました(笑)。

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▲タカラヅカの世界に入り込んだルパン三世。コラボレーションで生まれる新しい世界観

演出家 小柳菜穂子

”ルパン三世”の魅力である”自由さ”を表現したい

――「ルパン三世」といえば口調が印象的。あの口調はどこまで再現するのか?

小柳 口調は大事ですが、単に「よぉ、不二子ちゃ~ん」という口調をコピーするのは違うと思います。「ルパン三世」の魅力は“自由さ”。時代に対して自由であり、世の中の常識にとらわれないキャラクターを、早霧がどう表現するのか。そのための参考がルパンの口調だと考えればいいと思います。作品の根っこ、心意気を真似するアプローチが必要ですし、そこをないがしろにしないようやっていきたいです。
ただ、原作のお約束の部分は外しませんので、ご覧くださるお客様が「待っていました!」と思うようにしていきたいですね。

雪組出演者の魅力と『ルパン三世 ―王妃の首飾りを追え!―』で期待すること

早霧せいな
早霧せいな(ルパン三世役)

彼女の魅力は“ムーブ”だと思います。動いたときに思い切りの良さがある。トップスターの中でも彼女オリジナルの魅力ですし、「ルパン三世」という動きを見せる作品にとても合っていると思います。

咲妃みゆ
咲妃みゆ(マリー・アントワネット役)

タカラヅカの伝統的な娘役らしさと現代的な味付けを両方持っている、とても可能性がある娘役です。新しいマリー・アントワネット像ができるとしたら彼女の力ですし、逆に私も参考にしていきたいですね。

夢乃聖夏
夢乃聖夏(銭形警部役)

銭形警部役は彼女しかいないと思っていました。一点の曇りも不安もなく、役を信じて「ルパーン!」と叫んだり驚いたりすることができるのは、とても素晴らしいことだと思います。

大湖せしる
大湖せしる(峰不二子役)

タカラヅカの娘役や女優さんは意外とサバサバしていて、峰不二子のようなセクシーさにはならないと思いますが、大湖はもともと男役なので男目線のセクシーさが表現できると思います。

望海風斗
望海風斗(カリオストロ伯爵役)

花組から雪組に組替えしたばかりの公演なので「あれは誰?」という気持ちと、カリオストロ伯爵という謎のキャラクターがシンクロしたらいいなと思います。彼女は芸達者で安心感がありますね。

彩凪翔
彩凪翔(石川五エ門役)

とにかく目力があって、寡黙な雰囲気もある。職人っぽさやストイックさもあって、五ェ門らしいですよね。自然にキャスティングが決まった一人です。

彩風咲奈
彩風咲奈(次元大介役)

ルパン三世役の早霧の隣にいるときの空気感がいいんですよね。学年差はあるものの、とてもリラックスしている感じが伝わってきます。2人が並んだときの“相棒感”が出ればと思います。

NTT東日本・NTT西日本フレッツシアター ミュージカル『ルパン三世 ―王妃の首飾りを追え!―』、宝塚歌劇の舞台でどんなシーンやストーリーが繰り広げられるのか、ご期待ください。

 

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