『GOLDEN JAZZ』の世界
『GOLDEN JAZZ』演出家メッセージ
作・演出:稲葉太地
グランドカーニバル『GOLDEN JAZZ』という作品タイトルに込めた思い
月組公演を担当するにあたり、まずトップスターである龍真咲の個性をどう表現するかを思い描きました。結果、彼女の長けた歌唱力に行き着き、それを十二分に活かすべく「JAZZ」というテーマを選びました。更に個性豊かな月組の面々を思い浮かべた時にそれは様々な煌めきを発する「極彩色」であることから、『GOLDEN JAZZ』というタイトルを選びました。「グランドカーニバル」は2015年ラストの宝塚大劇場公演、そして2016年最初の東京宝塚劇場公演になることから、今年最後のお祭り、そして来るべき新年最初のお祭りという意味を込めております。カーニバルはパフォーマーと観客が一緒になって生み出されるもの。ご覧になるお客様にもショーに参加して頂き、一緒に盛り上げて頂きたいという願いも込めております。
「JAZZ」の魅力とは?
一言に「JAZZ」と言いますがその中身は多種多様です。様々な時代や場所を経て、音楽において「生きる楽しさ」や「自身の表現」を実践してきた「JAZZ」はまさに「なんでもあり」の音楽であり、その「なんでもあり」感が一番の魅力ではないでしょうか。
龍真咲・愛希れいかをはじめとした月組のイメージ・魅力は?
私にとりまして初めての月組大劇場公演となります。トップスター・龍真咲の主演作を作ることはかねてより私の夢でありました。その歌声、そして彼女にしか表現出来ないであろう舞台は大変魅力的で、その魅力がジャズを通してどのように花開くか、様々なイメージが想像されて今から本番の舞台が楽しみです。相手役・愛希れいかの表現力、想像力、愛らしさ、カッコ良さに溢れるパフォーマンスも見どころの一つになると思います。専科から星条海斗の色気も加えて、その他月組出演者の面々もまたジャズのように多種多彩。そんな出演者が繰り広げるカーニバルを、私自身が楽しみながら構成しております。
お客様へのメッセージ
今回お客様参加型のショーを目指すべく様々な趣向をご用意しております。ジャズのリズムに酔いしれ、そして出演者と共にジャズのリズムを作り上げて頂けたらと思います。JAZZ、それはなんだってありです。リズムに乗って感じるままにショーに参加して頂ければと思います。
こだわりの詰まった『GOLDEN JAZZ』の世界
音楽へのこだわり ~ジャズの歴史をたどる~
アフリカのリズムがヨーロッパの音楽と出会い、新大陸アメリカでジャズが生まれた。多様な人種と文化が入り混じる港町ニューオリンズを発祥として黒人を中心に発展してきたジャズだったが、世界大恐慌の終わりとともに白人が中心となるスウィングジャズが登場する。2013年花組公演『Mr.Swing!』のプロローグで使用されたナンバー「It don't mean a thing(スウィングしなけりゃ意味がない)」は、その名の通り、スウィングジャズの代表的なナンバーだ。
『GOLDEN JAZZ』では時代とともに変化し、輝き続けるジャズのメロディーが舞台を彩る。
稲葉太地が明かす『GOLDEN JAZZ』の魅力
このショーはジャズ発祥の地とされるニューオリンズのカーニバル「マルディグラ」から始まります。いわゆるディキシーランドやラグタイムと言ったジャンルです。底抜けに明るい音楽と色鮮やかな美術・衣装をお楽しみ頂けたらと思います。その後は我々が最もジャズらしいと感じるスウィングジャズに変化します。皆さまにお馴染みの楽曲に乗せてお届けする予定です。そして後半はジャズのルーツであり、リズムの生まれた場所アフリカへと舞台は移り、そこからゴスペルへと発展します。どの場面も活き活きとした歌と踊りを詰め込んで、また出演者による楽器の演奏も盛り込みます。いずれもオリジナルの作曲、既成曲のアレンジ「なんでもこい!」の作曲家(高橋城先生・太田健先生・高橋恵先生)が楽しく心に染みるジャズの世界を描き出して下さっています。また、お客様にも参加して頂ける場面もありますので、是非出演者と一緒になってショーを作り上げて頂ければと思います。
振付へのこだわり ~ジャズのルーツへ導く振付~
多種多様なジャズの世界をさらに魅力的なものにするために、躍動感溢れる振付は欠かせない。ダイナミック、スタイリッシュと、場面ごとに色を変える極彩色のショーは見どころ満点だ。
特に、2014年星組公演『パッショネイト宝塚!』では、ブラジルの国技「カポエイラ」を取り入れた振付が、その力強さと斬新さで好評を博した。この場面の振付を担当した振付家の森陽子さんを迎え、宝塚歌劇のショー作品に新たな歴史を刻む。
稲葉太地が語る『GOLDEN JAZZ』のポイント
今回ジャズのルーツであるアフリカを取り上げようと思った時に、『パッショネイト宝塚!』でアフロブラジリアンダンスとカポエイラの振付をして頂いた森陽子先生に再び振付をお願いしました。アフロブラジリアンダンスは文字通りアフリカンダンスに端を発するものであり、またそこから発展したアフリカンヒップホップにも造詣の深い森先生の振付は新たな宝塚歌劇のショーの魅力を引き出して下さると私自身楽しみにしております。この場面は芯を務める愛希れいか以外全てオーディションで配役します。また森先生だけではなくバイタリティ溢れる振付家(御織ゆみ乃先生・若央りさ先生・KAZUMI-BOY先生・桜木涼介先生)がそれぞれ作り出すジャズの世界にもご期待下さい。