龍 真咲×藤井 大介 作品ラインナップ

宝塚歌劇の伝統を大切にしつつ、その枠を越えた革新を目指し、実現してきた演出家・藤井大介と月組トップスター・龍真咲。二人が作り上げてきた作品を振り返ってみよう。

『Young Bloods!!』-Sparkling MOON-

 バウ・ワークショップ
『Young Bloods!!』-Sparkling MOON-
構成・演出:藤井大介

宝塚バウホール:2006年2月25日(土)~3月3日(金)

5組で順次上演された若手演出家と若手出演者によるフレッシュな「バウ・ワークショップ」シリーズで、月組は入団して5年目の龍真咲がバウ・ワークショップの初主演を飾った。第1部の芝居「ハーフムーン狂想曲」では、恋人と他愛もない喧嘩をする青年RYUが、突然異次元に飛ばされ様々な人々と出会う物語。 龍真咲はアカペラも歌いこなし、スターとしての輝きを見せる。第2部のショーはタップなどダンスもふんだんに披露。鈴を付けて踊るインド舞踊を髣髴とさせる群舞は、龍真咲の力強い眼差しと滑らかな動きが印象的だった。『シカゴ』や『ジキル&ハイド』といった人気ミュージカルのナンバーを情感豊かに歌い、客席降りでは観客にアピール。初の藤井大介とのコラボレーションで、瑞々しさと共に、凛とした男役像をのぞかせた。



  

『HAMLET!!』

 ロック・オペラ
『HAMLET!!』
原作/ウィリアム・シェイクスピア
脚本・演出/藤井大介
河合祥一郎 訳「新訳ハムレット」(角川文庫刊)を参照


宝塚バウホール:2010年2月4日(木)~2月14日(日)
日本青年館大ホール:2010年2月19日(金)~2月25日(木)


龍真咲の宝塚バウホール公演単独初主演作となった本作の脚本・演出を藤井大介が担当。ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「ハムレット」を、パワフルなロックで綴った意欲作だ。龍真咲は剣を片手に深紅の衣裳で登場するシーンから、美しくも強烈なヴィジュアルで魅せる。王である父親を叔父に殺されたハムレットが、狂気を装い復讐へと突き進む演技は鬼気迫るものがあり、恋人であるオフィーリアや母親へは愛情とその裏返しの冷たさを見せ、青年の心の揺らぎを繊細に表現した。ハムレットの有名な台詞をタイトルにした印象的なナンバー「To Be Or Not To Be」をはじめ、劇中劇ではスタンドマイクの前でシャウトしながら熱唱。「尼寺へ行け!」の台詞も歌にして、ストレートに感情をぶつける。藤井大介がロックが似合う龍真咲の魅力を最大限に引き出した作品『HAMLET!!』は、龍真咲の新境地を開きエネルギーに満ち溢れた舞台となった。


  

『TAKARAZUKA 花詩集100!!』

 グランド・レビュー
『TAKARAZUKA 花詩集100!!』
作・演出/藤井 大介

宝塚大劇場:2014年3月21日(金)〜4月28日(月)
東京宝塚劇場:2014年5月16日(金)〜6月15日(日)
博多座:2014年7月12日(土)〜8月4日(月)

宝塚歌劇100周年を記念して上演された三本立て公演の中の一作。レビューの王様と称された白井鐵造の名作『花詩集』を、藤井大介が現代のアレンジで甦らせた。様々な花をモチーフにした華やかなオープニングから龍真咲のクラシカルな一面が引き立ち、アントワーヌ・クルック氏デザインの衣装が鮮やかに映える。妖艶なダンスで魅了した「赤いケシ」、力強いステップとアダルトな色気で魅せるラテン「青い蘭」など、多彩な場面が展開。名曲「すみれの花咲く頃」を軽快にアレンジし、スキャット風に歌いあげるシーンでは、歌唱力に秀でた龍真咲の実力が存分に活かされた。「黒バラ」ではビートの効いた力強くスタイリッシュなナンバーと男役たちを引き連れたダンス(ジェフ・カルフーン氏振付)で龍真咲の都会的な雰囲気が際立った。


『DRAGON NIGHT!!』

  ドラマティック・ドリーム
『DRAGON NIGHT!!』
作・演出/藤井 大介

梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ:2015年9月1日(火)〜9月13日(日)
文京シビックホール:2015年9月18日(金)〜9月23日(水)

龍真咲にとって初のコンサート。ロシア、ヴェネチア、インド、ニューヨークなどを背景に、ドラマ性のある歌やダンスで構成されたACT1は、華やかなオープニングからスタート。正統派の貴公子、愁いを帯びた青年から色気が溢れる男役まで異なった表情でソウルフルな歌声を響かせた。変幻自在な魅力はACT2でさらに炸裂。龍真咲がDRAGON(タートル)に扮し、「龍宮城」の中で出演者と賑やかに歌やトークを展開。突き抜けた明るさと勢いが彼女らしく、劇場一体となって盛り上がった。ACT3では「アマール・アマール」など宝塚歌劇の名曲をたっぷりと聴かせ、ラテンのダンスや、ミュージカルナンバーの熱唱でも存在感を見せつけ、龍真咲の多面的な魅力が詰まったパワフルな舞台となった。