ショーオルケスタ『Fire Fever!』

  • 演出家 稲葉太地が語る

演出家 稲葉太地が語る
ショー オルケスタ『Fire Fever!』の見どころ

粋でモダンかつ、宝塚らしい香りを随所に散りばめた作風で、幅広く支持を得る演出家・稲葉太地。作品に込めた愛情が言葉の端々からこぼれる稲葉に、その熱い想いを聞いた。

炎、熱、そして火花。雪組の熱さを感じられるショーに!

今作に込めた想いを教えてください。

彩風咲奈を中心とした新生雪組全員での初めてのショーになりますので、出演者それぞれが、これまでとは違った表情を見せてくれると期待しています。タイトルの前につけた、オーケストラを意味する“オルケスタ”には、一人ひとりの魅力が重なり合い、競い合って火花を散らしてほしいという想いを込めました。 “炎(Fire)”と“熱(Fever)”そして“火花”を舞台から感じていただける作品を目指しています。

場面構成を教えてください。

オープニングはジャングルをテーマに、彩風扮する新たな王の誕生から、全員での激しいダンスで始まります。幕開きからとても格好いい場面になりそうで、私も楽しみにしています。
その後、コミカルな場面、男役のスーツの場面、そしてスパニッシュの中詰めへと続きます。

中詰め以降の見どころは?

一番の目玉は、彩風を含めた約70名でのラインダンスです。今回の公演のお芝居は、人気漫画を原作としたミュージカルなので、きっと初めて宝塚歌劇をご覧になる方もいらっしゃると思います。そこで、初めての方もすでにファンの方も、皆さんに楽しんでいただけるように、ひときわ豪華なラインダンスを用意しました。この場面では、彩風が唯一の男役となります。
他にも、彩風扮する“火の鳥”が、ある“娘”(朝月希和)に力強く命を吹き込み、最後は全員が翼となって未来へ羽ばたいていく、“Fire Bird”という場面をつくりました。新たなスタートを切る雪組全員が、手を携えて進んでいってほしいという願いを込めています。

新トップコンビの見せ場は?

“Fire Bird”の場面では、短い時間ですが、彩風の包み込むような大きな愛とそれを受け止める朝月の姿から、新トップコンビの関係性を感じていただけると嬉しいです。そして、やはり、デュエットダンスですね。それまでのワイルドで情熱的なシーンとは打って変わって、フィナーレではしっとりとしたデュエットダンスをお見せする予定です。

新生雪組の多面的な魅力を引き出す

新トップスター・彩風咲奈の魅力と、今作での見どころは?

初めて一緒に仕事をした下級生の頃の爽やかなイメージが強く残っていたのですが、先日の全国ツアー公演では、安定感と熱量のあるスターだなと感じました。これまで内に秘めていた彼女の新たな魅力を、稽古場で一緒に模索しながらつくり上げていきたいですね。ワイルドさ、クールさ、そして情熱的な側面や包容力もお見せできる場面を用意していますので、楽しみにしていてください。

彩風とは前回担当した2016年『Greatest HITS!』以来ですね。

5年前の当時もいろいろな場面で活躍してもらい、ショースターとして大変魅力的でしたが、今やセンターの立場ですので、自身の魅力をいかに周りに波及させ、組をどう引っ張っていくかということも求められます。トップスター・彩風咲奈の持つ未知数の魅力を、余すところなくお客様にお見せするために、今回またコラボレーションできることがとても嬉しいです。

相手役の朝月希和にとっても、トップ娘役としての大劇場お披露目公演です。

彼女から感じるのは、宝塚に対する大きな愛と、娘役への強いこだわりです。度重なる組替えを経験し、その度に蓄積されてきたものがありますから、寄り添うだけではなく、男役と対等に向き合えるのではないでしょうか。元々チャーミングな娘役ですが、大人っぽい場面のほか、お披露目公演ならではのフレッシュさもお見せしたいですね。

朝美絢の活躍にも注目ですね。

朝美には、オペラで有名なドン・ジョヴァンニを現代風にアレンジした場面をオープニングの後に用意しました。ちょっとコミカルな場面で、彼女がこれまでに演じたキャラクターとは違う雰囲気の色男をどう見せてくれるのか非常に楽しみです。強い男役像が印象的ですが、ハートフルな温かさも表現できる人ですから、今回も場面ごとに多彩な魅力を見せてくれるだろうと期待しています。

綾凰華、縣千など、若手スターの活躍にも期待が集まります。

綾は今年で入団10年目ですね。“男役10年”と言いますが、これまで男役として身につけたものをどのように花開かせていくか、注目しています。“Fire Bird”の場面では、朝月の恋人役をやってもらうので、綾自身が持つ優しさが表現された魅力的なシーンになるのではないかと思っています。
また、縣は、その男役らしいビジュアルがとても魅力的ですよね。今回は、フィナーレ前に彼女を中心とした16人のダンスの場面をつくりました。大劇場の大きな舞台で、ダンスのみでどれだけの熱量を伝えられるか、お客様には過度なほどに(笑)ご期待いただきたいと思います。

最後にお客様にメッセージをお願いします。

今作は彩風咲奈を中心とした雪組全員が揃う最初の公演です。新しい始まりとは、何色にも染まれる、どこへでも行けるということ。なかなか劇場でご観劇いただけることが困難な時節ではありますが、この新生雪組の始まりの時を、多くの皆様に祝福し、応援していただけましたら幸いです。

稲葉太地

プロフィール
稲葉 太地

静岡県出身。2000年宝塚歌劇団入団。2006年『Appartement Cinéma』(花組)で演出家デビュー。2009年に『SAUDADE(サウダージ)』(月組)で詩的な芝居の要素も取り混ぜて構成した自身初のショー作品を手掛ける。『Carnevale(カルネヴァーレ) 睡夢(すいむ)』(2010年雪組)で宝塚大劇場デビュー。その後『ルナロッサ』(2011年宙組)、『Celebrity』(2012年星組)はじめ、多彩なショーやレヴューを次々に発表。2015年には第二回宝塚歌劇団 台湾公演で『宝塚幻想曲(タカラヅカ ファンタジア)』(花組)を担当し、『Greatest HITS!』(2016年雪組)、『カルーセル輪舞曲(ロンド)』(2017年月組)、『クラシカル ビジュー』(2017年宙組)など、意欲作を演出。2018年には、宝塚歌劇初の舞浜アンフィシアター公演『Delight Holiday』(花組)で、新たな試みにも挑戦。2020年には大作『アナスタシア』(宙組)の演出も手掛け、ミュージカル作品でもその手腕を発揮。演者の個性と実力を最大限に活かす演出に定評があり、高い美意識に裏打ちされたダイナミックな作品作りで、宝塚歌劇の可能性を広げている。