制作発表会レポート
2月8日(月)宝塚バウホールにて、宝塚歌劇星組公演 MUSICAL『こうもり』…こうもり博士の愉快な復讐劇…とショー・スペクタキュラー『THE ENTERTAINER!』の制作発表会が行われました。
宝塚歌劇団 理事長・小川友次、演出家の谷正純、野口幸作、星組トップスター・北翔海莉、星組トップ娘役・妃海風、紅ゆずるが出席。華やかなパフォーマンスも披露した制作発表会の模様を詳しくお届けします。
オペレッタの世界&華やかなショーの豪華二本立て
19世紀後半のウィーンを舞台に、ファルケ博士が親友のアイゼンシュタイン侯爵に“愉快な復讐劇”を仕掛ける『こうもり』。名曲で彩られたヨハン・シュトラウス二世の傑作オペレッタ「こうもり」の世界を、北翔海莉率いる星組メンバーが宝塚歌劇の舞台に鮮やかに甦らせます。
『THE ENTERTAINER!』は、これまで数々の舞台で活躍し実力を発揮してきた「究極のエンターテイナー」北翔海莉を中心に、星組の魅力を詰め込んだ新時代のエンターテインメント・ショー。演出家・野口幸作の宝塚大劇場デビュー作であり、宝塚大劇場では第102期初舞台生を迎える華やかな公演です。
クラシカルな歌唱と星組が誇るゴージャスさで魅了
制作発表会では、宝塚バウホールの舞台機構を生かし、約10分に及ぶ充実したパフォーマンスを披露しました。
まず登場したのは星組トップスター・北翔海莉。『こうもり』より「ファルケ博士の夢の舞台」を堂々と歌い上げます。楽しいミュージカルの開幕を告げるような愛と夢に溢れたナンバーを、高音も見事に響かせて披露。気品ある立ち姿、美しく流麗な歌声で、舞台となる19世紀のウィーンへと誘います。
次に赤いドレスに身を包んだアデーレ役の妃海風が登場。ファルケ博士役の北翔とともに「君の心に翼を」を優雅にしっとりとデュエットします。身体中を響かせるようなクラシカルな歌唱で、壮大に盛り上がっていく二人の歌声は聴き応え充分。歌唱力に定評のあるトップコンビならではの見せ場となりました。
続いて華やかな電飾が灯り、一気にショー『THE ENTERTAINER!』の世界へ。紅ゆずるが星組生と登場。煌びやかな衣装で、主題歌『THE ENTERTAINER!』を歌い踊ります。艶やかな衣装の妃海が登場、最後に出演者に迎えられて北翔が颯爽と現れ、ショーのパレードさながらの盛り上がり。躍動感ある明るい主題歌を全員で歌います。眩しいゴールドの衣装、手にステッキを持った北翔が、“ジ・エンターテイナー!”と声を挙げると周りがパッと明るくなる、そんな楽しくゴージャスなショーシーンを繰り広げました。
続いて、出席者が登壇し挨拶を行いました。
北翔海莉主演で再びオペレッタの魅力を
谷正純(『こうもり』…こうもり博士の愉快な復讐劇…担当)
「最近の宝塚歌劇では、オペレッタを上演する機会がなかなか無かったのですが、歌唱力のある北翔主演で、2013年に『THE MERRY WIDOW』を上演し、初めてご覧になる方にもオペレッタの魅力を感じていただけましたので、再びオペレッタの「こうもり」を上演させていただくこととなりました。本来オペレッタでは、歌手が芝居をし、ダンスはダンサーと役割分担をしておりますが、タカラヅカの場合は、全員が歌って踊って芝居をすることが魅力の一つのため、今回の『こうもり』では“ミュージカル”と銘打った作品にいたしました。第102期生のお披露目公演であり、『THE ENTERTAINER!』は、野口先生の宝塚大劇場デビュー作でもありますので、私が担当する芝居の方で楽しく温めて、露払いをしっかりと務めたいと思っております。」
明るく楽しくおめでたく、ゴージャスなショーに!
野口幸作(『THE ENTERTAINER!』担当)
「私が初めて演出助手をさせていただいたのが谷先生の作品でしたので、すごくご縁を感じながらデビュー作を担当させていただく嬉しさを実感しております。『THE ENTERTAINER!』は、究極のエンターテイナーである北翔海莉を中心に、いまの星組の魅力すべてをお届けするスペクタクルなエンターテインメント・ショーとなっております。第一幕がヨーロピアンスタイルのオペレッタに対して、第二幕はアメリカンスタイルのショーを展開していきたいと思っております。北翔が星組トップスターに就任してから、宝塚大劇場公演の初めてのショーであり、第102期生初舞台公演でもありますので、明るく楽しく華やかで、おめでたくゴージャスなショーに出来ればと思っております。」
クラシックの発声も星組全員でしっかり取り組む
星組トップスター 北翔海莉
「オペレッタは非常に楽しい作品であり、谷先生とご一緒した『THE MERRY WIDOW』に引き続きオペレッタに出演させていただけることをとても光栄に思っております。オペレッタは、いつもと違うクラシックの発声でストーリーをきちんと歌の中でお伝えしなければいけないので、星組生全員でしっかりと取り組み、オペレッタの楽しさをお客様にご披露できたらと考えております。また、ショーは、野口先生の「幸作」というお名前の通り、“幸せを作る”演出家による作品で、私たちはその“幸せ”を皆様にお届けすることができれば嬉しいです。今回は、初舞台生を迎えての公演となりますので、私自身が19年間培ってきたものを、初心を忘れず最高のパフォーマンスとしてお見せできるよう、精進してまいります。」
毎日のお稽古が楽しい。本番もハッピーな気持ちで
星組トップ娘役 妃海風
「お稽古が始まったばかりですが、『こうもり』はとても楽しい作品で、楽しくお稽古をしています。今回、本格的なオペレッタの歌ですので、日々挑戦し続けて、本番では、私自身もハッピーな気持ちで皆様とともに楽しむことができたらいいなと思っております。ショーは、野口先生から盛りだくさんの内容をお聞きしましたので、たくさんの課題を覚悟いたしました。全力で作品に取り組みたいと思います。」
初舞台生への応援歌も披露。初心に返り頑張りたい
星組 紅ゆずる
「お芝居で私が演じるアイゼンシュタイン侯爵は、北翔さん演じるファルケ博士に、愉快な復讐を仕掛けられていることにも気付かず、目の前の欲望で突き進み後先を考えないという、楽しいおじ様の役でございます。ショーでは、初舞台生がロケットを披露する前に、私から初舞台生へ応援歌をお届けする、という演出の一場面も予定されています。私は14年前に谷先生の『プラハの春』で初舞台を踏みましたが、その頃のことをまた思い出せる良い機会をいただきました。初心に返り、初舞台生への応援歌を自分の応援歌としても歌い、皆様に楽しんでいただける公演を目指して、頑張っていきたいと思います。」
- 制作発表会 ムービー
星組出演者の北翔海莉、妃海風、紅ゆずるも作品の見どころや意気込みを語りました。
星組トップスター 北翔海莉
オペレッタの楽しさを実感。さらに高みを目指して
「オペレッタ、喜歌劇というのは悪人も出ないですし、最高に楽しいとあらためて実感しています。最初のお芝居が、ファルケ博士(北翔)とアイゼンシュタイン侯爵(紅)の二人が酔っぱらっているシーンからなので、稽古が始まったばかりですが、毎日楽しく新鮮なお芝居ができるのではないかといまから楽しみにしています。『こうもり』はよく大晦日に上演される演目で、“あぁ、今年も一年楽しかった”と、お客様が劇場を後にされる作品だといわれています。今度は宝塚大劇場と東京宝塚劇場で、毎日お客様が“楽しかった!” “明日から頑張ろう”と感じていただけるような公演にできればと思います。最後はシャンパンを掲げ、歌って踊って大笑いする、そんな作品を楽しんでいただきたいです。またこの公演は初舞台生のお披露目があり、彼女たちも含め日々進化していくはずです。私は初舞台から19年経ちましたが、まだまだ学ばなければならないことがあるので、さらに高みを目指していきたいです。」
星組トップ娘役 妃海風
楽しい女優志望のメイド役。ファルケ博士との恋も
「『こうもり』では紅さん演じるアイゼンシュタイン侯爵家のメイド、アデーレ役をさせていただきます。メイドを務めながら、舞踏会へも行くことになる楽しい役でございます。女優志望の小間使いで、北翔さん演じるファルケ博士との恋もあるのでいまから楽しみです。
ショーのタイトルは、北翔さんのエンターテイナー性に相応しいテーマとコンセプトで『THE ENTERTAINER!』。北翔さんは皆様ご存知の通り、歌・ダンス・お芝居と三拍子揃った方です。エンターテイナーというのは華やかな舞台に立って脚光を浴びているというだけでなく、地道な努力があってこその存在だと思っております。北翔さんはその努力の精神が素晴らしく、いつも笑顔でキラキラ輝いていらっしゃるお姿は、真のエンターテイナーです!」
星組 紅ゆずる
お稽古の中で小気味よい演技を見出していきたい
「『こうもり』で演じさせていただくアイゼンシュタイン侯爵は、いろいろな人たちの思惑にも気付かず、どんどん動いてしまう役なので、周りの状況にうまく巻き込まれるように、お稽古に励んでまいります。長いプロローグの後、ファルケ博士役の北翔さんと最初にお芝居をさせていただくのですが、踊りながら酔っぱらってしまう楽しい展開になっています。お酒に酔う演技はこれまでも経験していて苦労しましたので、お稽古をしながら、いろいろ見つけていきたいです。昨年の『ガイズ&ドールズ』の時も、お稽古をする中で見出していった楽しさがありましたので、今回もお稽古を重ねて頑張りたいと思います。」
世界中で愛される流麗な音楽をベースに本格的オペレッタの香りを漂わせ、豪華なセットや衣装、星組ならではのコメディセンスで、最高に楽しいタカラヅカ版『こうもり』が誕生することでしょう。またプロの舞台人としての志に長けた稀代のエンターテイナー、北翔海莉初の宝塚大劇場公演でのオリジナルショーは、宝塚歌劇の王道が詰まった見どころ満載の作品です。ぜひともお楽しみください。
MUSICAL『こうもり』…こうもり博士の愉快な復讐劇…の脚本・演出を担当するのは谷正純。これまでもオペレッタを題材にした『ジプシー男爵』(2010年月組)など数多くの作品を演出。当時専科の北翔海莉主演『THE MERRY WIDOW』(2013年月組)は、オペレッタならではの笑いや上質の音楽で大いに盛り上がり、北翔と月組生の好演もあって好評を博しました。新たなタカラヅカ版オペレッタに期待が膨らみます。
『THE ENTERTAINER!』の作・演出を担当する野口幸作は、入団10年目で今作が宝塚大劇場デビュー作となります。『フォーエバー・ガーシュイン』(2013年花組)や『パルムの僧院 —美しき愛の囚人—』(2014年雪組)など、美しい旋律を盛り込んだ意欲作を手掛けてきた彼が、初舞台生を含む大人数の迫力あるショー作品に挑みます。
谷正純(『こうもり』担当)
ファルケ博士を主役に楽しい舞台をつくり上げる
「オペレッタはポピュラーの発声とは違うクラシックの発声です。この発声については宝塚音楽学校で生徒はみな勉強しているのですが、なかなか公演で生かす機会はありませんでした。北翔と『THE MERRY WIDOW』を一緒にやったとき、彼女はずっとクラシカルな歌唱の訓練を続けてきたのだなと感じましたし、次に北翔の公演を担当する機会があれば、ぜひこのようなオペレッタが題材の作品をつくりたいと思っていました。今回宝塚歌劇の舞台として一番大きな変更点が、ファルケ博士を主役にしたことです。原作「こうもり」で主役のアイゼンシュタイン侯爵は紅に演じてもらい、北翔のファルケ博士が仕掛ける“復讐劇”に重点をおきました。復讐といっても大げさなものではなく、ちょっといたずらされたから、いたずらの仕返しをするという、ごくごく楽しい物語でございます。初舞台生も出演しますので、とにかくお客様に楽しんでいただきたい、“やっぱりタカラヅカは楽しい”と言っていただけるものをつくりたいと、稽古に務めております。」
野口幸作(『THE ENTERTAINER!』担当)
星組の魅力を凝縮、お客様の心を離さない作品に
「ショーは羽根扇、大階段など宝塚歌劇の王道アイテムを詰め込んだ“ザ・タカラヅカ”なプロローグから始まります。その後は第102期初舞台生による春の空に飛翔する雛鳥をイメージしたロケットです。ちなみにそのロケットの前には、紅に初舞台生への応援歌を歌ってもらいます。フィナーレ前のクライマックスシーンでは、トップコンビに加え星組生、初舞台生も含めた100人以上が参加する、男役は黒燕尾、娘役は黒燕尾ダルマ姿による大スペクタクルなロケットを、盆やセリを使って展開する予定です。ほかにも北翔の芸達者ぶりを皆様に知っていただくために、彼女の歌、ダンス、楽器演奏などを場面によってお見せしたいと思います。さらにタップダンスや格好いいラテンナンバー、北翔・妃海のジャズのスキャット対決、北翔の持ち歌を披露するゴージャスなフィナーレナンバーも考えています。このように北翔率いる星組の魅力が詰まった、お客様の心をずっと離さない作品を考えておりますので、ぜひ主題歌を口ずさみながら帰っていただければ嬉しいです。」