制作発表会レポート
7月4日(木)、宝塚歌劇花組公演 三井住友VISAカード シアター Musical『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』、三井住友VISAカード シアター レヴューロマン『シャルム!』の制作発表会が行われました。
制作発表会には、公演にご協賛いただく、三井住友VISAカード株式会社 代表取締役社長 ・大西幸彦様、宝塚歌劇団理事長・小川友次、宝塚歌劇団演出家の植田景子と稲葉太地、花組トップスター・明日海りお、花組トップ娘役・華優希、柚香光が登壇しました。
明日海りおラストステージを飾る、魅惑の二本立て
第一幕の『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』は、現実世界と異次元の世界とを交錯させながら描く、大人の為のほろ苦く温かなオリジナル・ミュージカル。明日海りお演じる、人間離れした美しさを漂わせる“青い薔薇の精”が、耽美的で幻想的な世界に誘います。
そして、花と光の都パリに眠る地下都市を舞台に繰り広げられる、第二幕のレヴュー『シャルム!』では、明日海を中心とした個性豊かな花組が、華やかで多彩な“魅力”溢れる舞台をお届けします。
ミステリアスで甘美なパフォーマンスに酔いしれる会場
制作発表会は『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』のパフォーマンスから始まりました。
神秘的な水音が流れる中、壇上に浮かびあがったのは、青い薔薇の精エリュに扮した明日海りお。ハーヴィー・ロックウッドに扮した柚香光との芝居を絡めながら、「The Blue Rose~幻の中に咲く花~」(作曲・編曲:斉藤恒芳)を歌い、作品の世界へと一気に引き込みます。
続いて、白いドレスをまとった、シャーロット・ウィールドン役の華優希が一輪の白の薔薇を手に登場。明日海との甘美なデュエット、「Never forget you~あなたを忘れない~」(作曲・編曲:瓜生明希葉)を披露しました。
そして、最後に明日海、華、柚香の三人が、希望に溢れた「Like a Fairy Tale」(作曲・編曲:𠮷田優子)を歌い上げました。作品の作曲・編曲を担当する宝塚歌劇団の𠮷田優子と、斉藤恒芳氏、瓜生明希葉氏によるピアノ演奏に、長崎真音氏によるヴァイオリン伴奏を加えた美しい調べと、詩情豊かな歌唱によるパフォーマンスに、会場はひと時、幻想の世界に酔いしれました。
※𠮷田優子の「𠮷」は、ご利用の環境により「𠮷(つちよし)」の字が表示できない場合がございます。正しくは「土」の下に「口」です。
明日海りおの退団公演となる『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』『シャルム!』は、明日海と、彼女が率いる花組の魅力を余すところなく味わえる、豪華二本立てです。どうぞお見逃しなく!
- 制作発表会 ムービー
パフォーマンスの後、明日海りお、華優希、柚香光が意気込みを語りました。
花組トップスター 明日海 りお【薔薇の精エリュ】
退団発表以降、ふとした瞬間に、花組の仲間と会話を交わすのもあと少しなのだと、しんみりしてしまったり、何より大好きなタカラヅカの舞台に、大好きな男役として立つこともなくなると思うと寂しい気持ちになったりもしていますが、初舞台からご縁のある植田景子先生と稲葉太地先生に、私の最後の公演を担当していただけますので、大きな安心感があります。様々な気持ちが渦巻く中での公演になると思いますが、より良い舞台を目指して、まずは花組全員が胸を張り、誇りを持って、元気に初日を迎えられるよう、心をこめてお稽古に励みます。そして、いつも応援してくださるファンの皆様、観に来てくださるお客様のお心を常に忘れずに、取り組んでまいります。
お芝居で、“青い薔薇の精”を演じると初めてお聞きした時は、少し驚きましたが、植田先生とお話しさせていただくうちに、先生が描きたいもの、大切になさりたいものがよく分かり、とてもやりがいを感じました。皆様の頭に記憶として残るだけでなく、お心にも残るよう、大切に演じたいと思います。
また、タカラヅカの男役として、リーゼントに黒燕尾で思い切り格好つけるのもこれが最後の機会ですし、ショーの方も楽しみでなりません。稲葉先生は、オリジナリティの中にも出演者個々の良さをとても大切にした構成をしてくださるので、先生から何かを受け取るだけでなく、私たちからも多くのものを発信していければと思っております。
退団にあたって
トップスター就任期間が長くなるに従い、周囲の皆様が優しく接してくださるようになるのですが、最後の公演にあたって、より進化した良い舞台にしたいとの意気込みがございますので、容赦なくご指摘いただき、さらにレベルアップした花組をお見せしたいと思います。心をこめて頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
花組トップ娘役 華 優希【シャーロット・ウィールドン】
お芝居のシャーロット・ウィールドンという役とはまだ出合ったばかりですので、これから理解を深めて役づくりに励みたいと思っております。植田景子先生の描かれる、自由な心を持った素敵な女性像を、明日海さんと気持ちを通わせながら丁寧に演じたいと思います。また、花組の配属になってから初めてのショーが稲葉先生の作品でしたので、今回、担当いただけることに、ご縁を感じ、大変光栄に思っております。明日海さんが卒業される日まで、精一杯学ばせていただき、精進してまいります。
明日海りおへの想い
明日海さんの魅力は言葉ではとても言い尽くせません。お稽古場でも舞台でも、今この場でも、ご一緒させていただけることに、とても幸せを感じます。明日海さんとの一瞬一瞬を大切に過ごしてまいりたいと思います。
花組 柚香 光【ハーヴィー・ロックウッド】
お芝居では、幻想的な青い薔薇の精の世界観と、現実社会に生きるハーヴィーがどう関わり、影響し合っていくのか、また、明日海さん演じるエリュと出会うことによって何を感じ、何を学ぶのかと、私自身が今からとても楽しみにしております。一方ショーは、私にとって思い出深い特別な作品『宝塚幻想曲(タカラヅカ ファンタジア)』をご担当された稲葉先生が手掛けられますので、大変嬉しく思います。お客様にお楽しみいただき、新たな一面をお見せできるような舞台をお届けするべく、頑張ってまいります。そして何より、尊敬する明日海りおさんに最後まで、しっかりと付いてまいりたいと思います。
明日海りおへの想い
技術はもちろん、容姿の端麗さや聡明さ、紡ぎだされる言葉の美しさなど、明日海さんはとてもたくさんの魅力をお持ちです。それらを、どんなにつらい時も、どんなに極限状態にあろうとも、磨き続けることを決して止めず、戦い続けることのできる精神力と、志の高さこそが一番の魅力であり、多くの人を惹きつける理由だと感じます。そのお姿を日常的に私たちに示してくださった明日海さんを、心から尊敬しております。
『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』の作・演出は、宝塚歌劇の伝統を踏まえつつ、独自の世界観で観客を魅了する演出家・植田景子。そして、『シャルム!』は、みなぎる感性でショー作品を彩る演出家・稲葉太地が担当します。今作が退団公演となる明日海りお率いる花組の、さらなる魅力を開花させてくれることでしょう。
皆様の心に宝物として残る作品を
植田景子(『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』作・演出)
明日海りおのサヨナラ公演に際し、私も個人的に色々な想いがございますが、彼女のファン、花組ファン、そしてタカラヅカを愛してくださる多くの方々も、様々な想いでこの公演を心待ちにされていることと思います。そんな皆様の想いにお応えできるよう、演出家として、明日海率いる花組の一人ひとりがその魅力を存分に発揮し、出演者とお客様が幸せな時間を過ごすことのできる作品を目指したいと思っています。
この舞台をご覧になった後に、お客様の心に深く残るものがあればいいですね。各々の場面の一瞬一瞬や、特にラストシーンの美術、音楽、全てが一体となって、皆様の心に一生の宝物となる瞬間を生み出せるよう、ひたすら尽力してまいります。
◆明日海りおの魅力
まだ初々しい初舞台生の頃から、月組下級生時代、組替え、トップスター就任と、様々な転機に男役として苦悶する姿を見てきましたが、その度に、彼女は強靭な精神力で自分を磨き、克服し、前へ前へと進みました。その努力が明日海りおという唯一無二の男役スターをつくり上げたのだと思います。容姿の美しさもさることながら、そういった内面から溢れ出るものが本当に深く、強く、繊細で、彼女の底知れぬ魅力の根源になっているのだと感じております。
明日海りおの魅力をふんだんに盛り込んだレヴュー
稲葉太地(『シャルム!』作・演出)
“魅力”をテーマとして、明日海りおの魅力をふんだんに盛り込んだ、宝塚歌劇ならではのレヴューを目指して制作しております。作品の見どころは、明日海の変化(へんげ)する姿です。タカラヅカらしい華やかなオープニングに始まり、スーツ姿でのダンス、そして軍服姿の中詰めがあり、最後は黒燕尾と、男役としての姿をたっぷりご覧いただく予定です。そしてラストには、花組出演者全員で創りあげる場面がございますので、どうぞご期待ください。
◆明日海りおの魅力
とにかく常に進化し続けていることが彼女の魅力だと思います。私は、彼女のトップスター就任後、初めてのオリジナルレヴュー『宝塚幻想曲(タカラヅカ ファンタジア)』を担当させていただきました。その後も台湾公演、昨年は舞浜アンフィシアターのステージで縁があり、彼女の頑張る姿をすぐそばで見てまいりましたが、稽古中、さらには公演中にも、芸だけではなく人間性までもが深まっていく様子を目の当たりにし、彼女の魅力をますます実感しました。個人的には、普段はソフトな彼女が、シーンによっては舞台に立った途端に“悪い”顔をする、その瞬間が大好きです(笑)。