紅ゆずる×小柳奈穂子
演出家・小柳奈穂子と紅ゆずるは、ファンの心を掴むオリジナル作品から、映画や人形劇を宝塚歌劇の世界で表現したものまで、さまざまな作品を創り出してきました。
そして、紅の退団公演となる今作は、小柳が、進化し続ける紅をどのように描き出すのかにも注目が集まります。
これまでに紅が出演してきた小柳作品をとおして、その魅力をご紹介します!
- 紅は客席とのコミュニケーションの取りかたがとても上手く、“演芸としてのタカラヅカ”を現代的にアップデートした形で魅せられるスターです。その点をいかし、彼女の現代的なコメディセンスを発揮してもらった役が『めぐり会いは再び』のブルギニョンでした。対して、台湾でも上演した『怪盗楚留香外伝 -花盗人-』『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』では、生来のビジュアルの良さも彼女の魅力のひとつですから、『怪盗—』ではひたすらに美しく、『Thunderbolt—』ではビジュアルに加えて、原作の人形劇を参考にした演出を取り入れました。それぞれに苦労した部分もありましたが、台湾のお客様にも楽しんでいただけたと思います。
役者としての紅は、作品の構成を掴み、核となる部分を的確に表現できる人なので、宝塚的、演劇的な造りではない作品でも“宝塚歌劇の舞台”として成立させてくれると実感した作品が『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』です。同じく映画原作の『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』では、初ヒロインの綺咲に紅が色々と教え、それに必死に綺咲が応えて、二人で役を創りあげてくれました。
振り返ると、紅はいつも前向きに作品に取り組んでくれて、色々な課題を一緒に乗り越えてきましたね。
『めぐり会いは再び』-My only shinin’ star-(2011年)
18世紀フランスの劇作家マリヴォーによる名作喜劇をタカラヅカのテイストを加えて、コミカルに描き出したミュージカル。演出家・小柳奈穂子の宝塚大劇場デビュー作。
紅は、貴族の息子ドラントに振り回される従僕ブルギニョンを軽快に演じた。
『めぐり会いは再び 2nd 〜Star Bride〜』(2012-2013年)
2011年の好評を受け、2012年に続編を上演し、紅も再びブルギニョン役を演じた。
小柳が「ブルギニョンは揺らがない愛の象徴」というように、真っ直ぐで一途なキャラクターを、持ち前のコメディセンスも発揮して表現した。
『怪盗楚留香外伝 -花盗人-』(2013年)
“台湾のアルセーヌ・ルパン”とも呼ばれる怪盗の活躍を、華やかに舞台化した作品。
紅はヒロインの恋人で、武芸に優れた家系に生まれながら、武術の才能に恵まれない、優しく気弱な青年・薛斌(せつひん)を演じた。中日劇場および台湾で上演。
『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(2015年)
パイロットや医師に成りすまして大金を手にした、実在の天才詐欺師を主人公に、ポップな音楽と迫力あるダンスで綴ったミュージカル。
軽妙ななかにもメッセージ性のある作品で、紅はフランク・アバグネイルJr.がアイデンティティを確立していく姿を丁寧に演じた。
『オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-』(2017年)
“輪廻転生”がテーマのインドのボリウッド映画をもとにした、明るく楽しく歌って踊るミュージカル。ボリウッド映画を日本で初めて舞台化し、注目を浴びた。
紅は、スターに憧れながら不慮の事故で命を落とす脇役俳優の青年と、彼の生まれ変わりで大スターの御曹司に扮した。
『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』(2018年)
台湾の伝統的な人形劇・布袋劇を現代的にアレンジした、アジア各国で好評を博す霹靂布袋劇「東離劍遊紀」を、星組が世界で初めてミュージカル化。梅田芸術劇場、日本青年館ホールに加え、台湾の台北・高雄でも上演された。
謎多き主人公・凜雪鴉(リンセツア)を、聡明で優雅という原作のイメージそのままに、紅が演じた。
演出家・小柳奈穂子と、星組トップスター・紅ゆずるという、常にチャレンジを続ける二人がタッグを組む、アジアン・クッキング・コメディー『GOD OF STARS-食聖-』。
今の星組だからこそお届けできるポップでスタイリッシュな作品に、どうぞご期待ください!