制作発表会レポート
12月11日(金)、宝塚歌劇星組公演 三井住友VISAカード ミュージカル『ロミオとジュリエット』の制作発表会が行われました。
制作発表会には、公演にご協賛いただく、三井住友カード株式会社 代表取締役社長 大西幸彦様、宝塚歌劇団理事長 小川友次、宝塚歌劇団演出家 小池修一郎、星組トップスター 礼真琴、星組トップ娘役 舞空瞳が登壇しました。
人気ミュージカル、満を持して待望の再演!
『ロミオとジュリエット』は、2001年にフランスで初演されて以来、世界各地で上演され多くの人々に愛されてきた大ヒットミュージカル。宝塚歌劇でも、2010年に星組が初演、2011年から2013年にかけて、雪組、月組、星組と再演を重ねた、ファンからの熱い支持を集める作品の一つです。
その人気演目に、確かな実力を備えた礼真琴が率いる、個性豊かな星組が挑みます。
心震わせる歌声に、惜しみない拍手
制作発表会は『ロミオとジュリエット』のパフォーマンスから始まりました。
スポットライトの中に浮かび上がったのは、瑞々しさの中にもほのかな憂いを秘めたロミオ役の礼真琴。そこに薔薇色のドレスをまとったジュリエット役の舞空瞳が登場し、いつか巡り合う恋への憧れに胸をときめかせて歌う「いつか」で、優しいハーモニーを響かせます。
壇上に礼一人が残ると、一転して魂の底から湧き上がるような声で、「僕は怖い」を熱唱。忍び寄る不幸の気配への恐れを歌い、物語の行く末を暗示させます。
最後に、再び姿を現した舞空と、互いへの愛を誓う「エメ」を歌います。二人の甘美な歌唱に、『ロミオとジュリエット』の世界観にたっぷりひたった場内からは惜しみない拍手が送られました。
世界中の人々が涙した永遠の愛の物語を、詩的な楽曲の数々に乗せてお届けする、三井住友VISAカード ミュージカル『ロミオとジュリエット』に、どうぞご期待ください!
- 制作発表会 ムービー
パフォーマンスの後、星組の礼真琴、舞空瞳が意気込みを語りました。
星組トップスター 礼 真琴【ロミオ】
長いステイホーム期間中、自分に何ができるのか悩んでいた時に、小池修一郎先生から「今こそ君たちが前を向いて、皆さまの希望になる時だ」というメッセージをいただき、気持ちが前向きになりました。これまでも、私の宝塚生活において、ここぞという時に背中を押してくださってきた小池先生と、今回ご一緒させていただけますことを、とても幸せに思っております。
初演で“愛”役を演じさせていただいた時は、経験不足で右も左もわからないながらも、本当に幸せな時間を過ごすことができました。幕開きでせり上がる時は、緊張で毎日足が震えていましたが、あの時のお客様の温かい拍手がなければ、今私はここにいなかったと思います。そして、2013年の再演時の新人公演では、主役のロミオをさせていただきました。今、思い返してみると、とても幼く、技術的にも力不足だったと感じています。8年振りにまたこの役に挑戦する機会をいただけたことを嬉しく思います。
初日に向けて、もう一度原点に返り、この究極の愛の物語の中で一人の女性を守る強い男性になれるよう、努めてまいります。劇場に足をお運びくださるお客様に、平和と愛、そして勇気をお届けできるよう、精進いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
◆楽曲について
楽曲はどれも難曲で、音程をとるだけでも大変ですが、曲の素晴らしさを感じながらお稽古しています。どの曲も大好きですが中でも「エメ」は、お客様の心にも残る素敵な曲ですので、幸せなひと時をお届けできるように、大切に歌わせていただきたいです。
星組トップ娘役 舞空 瞳【ジュリエット】
何度も再演が重ねられてきたこの作品に出演させていただけることを、光栄に思うと同時に、身の引き締まる思いでいっぱいです。ジュリエットはとてもピュアで真っ直ぐな女性だと感じています。物語としては悲劇ですが、命を懸けて愛する人とともに生きることに幸福を感じている役だと思いますので、彼女の人生を舞台上で演じ、お客様に心を動かしていただけるよう、役づくりに励みたいと思っております。
何度も客席から拝見し、憧れていた作品に参加させていただける感謝の気持ちを大切に、皆さまに愛をお届けできるよう、小池先生のご指導のもと、精一杯精進し、礼さんについてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
◆楽曲について
どの楽曲も本当に素晴らしく、客席で拝見していた時からすべての曲が大好きなのですが、「エメ」は歌っていてとても幸せな気持ちになれる曲です。しかし、まだまだ未熟な私にとっては、どの曲も大変難しく、すべてが挑戦です。
『ロミオとジュリエット』の潤色・演出を担当するのは、宝塚歌劇の歴史に燦然と輝くヒット作を生み出し続ける小池修一郎。これまでも『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』『THE SCARLET PIMPERNEL(スカーレット ピンパーネル)』など、海外ミュージカルを宝塚歌劇の舞台に乗せ、演者の個性を見事に引き出した演出で多くの観客を魅了してきました。同じく好評を博してきた作品『ロミオとジュリエット』を、今の星組でどのように魅せてくれるのか、期待が膨らみます。
テーマは「愛」。舞台から発信するメッセージを受け取ってほしい
小池 修一郎(潤色・演出)
10年前、梅田芸術劇場で、星組による宝塚版『ロミオとジュリエット』の幕が開きました。これまでに世界二十数か国で上演されているミュージカル作品ですが、宝塚版の最大の特徴を一つ挙げるならば、“愛”という役が存在することです。他国で上演されるものに“死”は登場しますが、“愛”は存在しません 。この作品は、「死と愛の葛藤」の物語であり、「死と愛の戦い」の物語でもありますから、“愛”という役を置く方が好ましいと考えて創作しました。初演でその“愛”を演じた礼真琴が、今回はトップスターとしてロミオを演じますので、ロミオの元に「愛」が還ってゆくような、メビウスの輪と言いますか、「愛」がロミオへと帰結する物語にふさわしいと感じています。
そして、この作品自体の持つテーマも「愛」です。全世界が被っているコロナ禍という苦境のなか、私たちがこれから次の時代に向かうためには「愛」が必要だと、あらためて実感しています。今、この作品を上演することによって、舞台からエネルギーとメッセージを発信し、お客様にもそれを感じていただけたら嬉しく思います。
◆星組トップコンビについて
礼真琴が入団して間もないころ、稽古場で踊る姿を見て、その身体能力と技術力の高さに驚き、初演の“愛”役に抜擢しました。その後、2013年の再演時には、新人公演で主演のロミオを演じてもらいましたが、歌唱力、演技力でも傑出した才能を見せてくれて、宝塚歌劇史上に残るスターになるだろうと感じたことを覚えています。
そんな彼女の最大の魅力は、やはり「明るさ」ではないでしょうか。身体的な意味でのバネだけでなく、精神的なバネというか、弾力性を持っていますから、『ロミオとジュリエット』は悲劇ではありますが、その明るさで、ロミオ役を通して「希望を求める力」を表現してくれると思います。
一方で舞空瞳は、楚々とした可愛らしさが魅力の一つですが、昨年の『ロックオペラ モーツァルト』の一幕の最後に見せた、何かが憑依したかのようなダンスには、本質的にとても濃厚なものを持った人ではないかと感じさせられました。そして、素晴らしいダンサーであると同時に、非常に歌唱も安定していますし、演技巧者でもありますので、ジュリエット役も楽しみにしています。
礼、舞空ともに、技量と表現力のバランスが整っていて、とてもコンビネーションが良く、客観的に見て、現在の日本の…もしかしたら世界のショービジネス界においても、誇れるコンビだと言えるかもしれません。そんな二人ですから、今の状況に打ちひしがれている世界中の人々に対して、メッセージを発信する力を持っているのではないかと期待しています。お客様には、このレベルの高い二人を中心とした今の星組の舞台を堪能していただきたいと思っております。