演出作品を振り返る
田渕大輔 演出作品を振り返る
直木賞作家・浅田次郎氏の人気長編小説を宝塚歌劇がミュージカル化した『王妃の館 -Château de la Reine-』。一筋縄ではいかない個性的な登場人物が織り成す物語に、朝夏まなと率いる宙組が挑みます。
脚本・演出を担当する田渕大輔は、2012年に宝塚バウホール公演『Victorian Jazz(ヴィクトリアン ジャズ)』でデビュー以来、人間の心の機微を細やかに描いた作品で観客の心を掴んできました。
田渕大輔がこれまでに手掛けた作品を振り返ってみましょう。
2012年 花組公演
バウ・ミュージカル
『Victorian Jazz(ヴィクトリアン ジャズ)』
奇術師のナイジェルは、霊媒師のふりをして出席した降霊会で出まかせの術が評価され、ヴィクトリア女王からの招待を受けることになる。だが女王の目的は、降霊ではなく、とある手紙の真相を究明する事だった…。儀礼的なモラルが重んじられたヴィクトリア朝時代のロンドンを舞台に、奇妙な王命に従い、調査を進める主人公と多彩な登場人物のドラマを“ジャズ”に乗せて描いたミュージカル作品。
この作品が田渕大輔の宝塚バウホールデビュー作でした。
2014年 宙組公演
バウ・ゴシック
『SANCTUARY(サンクチュアリ)』
16世紀、ヴァロア王朝下のフランス。南仏の小国であるナヴァールの王子・アンリが、キリスト教の二つの教派=カトリックとプロテスタントによる、フランスにおける宗教戦争を終息させ、フランス国王・アンリ4世として即位するまでの物語。
アレクサンドル・デュマの小説でも知られる美貌の妻・マルゴとの政略結婚から始まる愛や、宮廷内に渦巻く陰謀、盲目的な信仰の中に潜む人間の欲望などをドラマティックに描きました。
2015年 宙組公演
バウ・プレイ
『相続人の肖像』
舞台は20世紀初頭のイングランド。母の死後間もなく愛人を後妻に迎えた父ジョージと決別状態にあった伯爵家の跡取り息子チャーリーは、父の訃報を受け居城を相続することとなった。しかし、邸以外の財産はすべて後妻と、彼女の連れ子であるイザベルに譲られることが、遺言により約束されていた…。
遺産相続を巡る騒動を背景に、貴族の青年が成長する姿を、時にコミカルな風味も漂わせつつ、ノスタルジックに描きました。
2016年 雪組公演
タカラヅカ・シネマティック
『ローマの休日』
ROMAN HOLIDAY ® & © Paramount Pictures Corp. All rights reserved.
イタリアのローマを舞台に、新聞記者ジョーとヨーロッパ各国を歴訪中のアン王女との束の間の恋を、名優グレゴリー・ペックとこの映画で一躍スターダムに駆け上ったオードリー・ヘプバーンの主演で描いた映画「ローマの休日」。公開から半世紀を経てもなお、世界中の人々から愛され続けているこの不朽の名作をミュージカル化。
ロマンチックで切ない史上最高のラブストーリーを宝塚歌劇ならではの華やかな舞台として上演しました。
中村暁 演出作品を振り返る
人々を非日常の世界に誘うFESTA(祭り)をテーマにした『VIVA! FESTA!』。祈り、感謝、願い。様々な想いが込められた世界各地の祭りを、朝夏まなと率いる宙組がパワー全開でお届けします。
このショーの作・演出を担当するのは、幅広いジャンルの作品を手がけるベテラン演出家の中村暁。
宝塚歌劇らしい上品さの中に現代的なセンスが光るショーを創りあげてきた中村暁のショー作品をご紹介します。
1994年 雪組公演
ショー
『サジタリウス』
ラテン語で射手座の意味である“サジタリウス(Sagittarius)”をタイトルに、射手座の持つ、積極的で明るい雰囲気をイメージしたショー。様々な星で青年と娘のロマンスが繰り広げられました。豊かな歌声が魅力の当時のトップスター、一路真輝を中心に、若さとエネルギーに溢れた雪組が華やかな星の世界を展開しました。
「夢を見てこそ、夢を実現できる」、そんな気持ちを込めて作られた、中村暁が手掛けた初のショー作品。
1996年 花組公演
ショー
『ハイペリオン』
ギリシア神話の神“ハイペリオン(高き者たちの意)”の名前から取った、美しくダイナミックなショー作品。ハイペリオンの降誕を讃える「プロローグ」、美術館の彫刻たちが画家の青年の思いによって動き出す「ピグマリオン」、笛の音によって古代の世界に導かれる「古代の夢」などストーリー仕立ての場面によって綴られ、バラエティに富んだ作品となりました。
2008年 雪組公演
ショー・ファンタジー
『ミロワール』-鏡のエンドレス・ドリームズ-
“ミロワール”とはフランス語で鏡の意味。「鏡」と「鏡の中のもう一つの世界」をテーマに構成したショー作品。古来より神秘的なものの象徴とされ、その時代を映し、異次元へと誘ってきた鏡。水夏希を中心とした出演者がスタイリッシュなダンスとダイナミックな群舞で客席との一体感を生み出し、鏡が織りなす、ゴージャスな世界を描き出しました。
2011年 月組公演
ショー・スペクタクル
『Dance Romanesque(ダンス ロマネスク)』
“Romanesque”とは、小説のように数奇的であること、情熱的であることを意味します。「ダンスが一瞬を永遠に変える」というテーマのもとで、若さと活気に満ちた群舞や、ストーリー・ダンスなど、多様なダンススタイルで構成されました。当時のトップスター霧矢大夢をはじめ、月組スターたちの実力が存分に生かされた、情熱的で躍動感溢れる作品となりました。
2012年 雪組公演
ショー・ファンタジー
『GOLD SPARK!-この一瞬を永遠に-』
美しさとエネルギー、そこに“輝き”が加わり、一段と楽しさを増す“ショー”。この公演がサヨナラ公演となった当時のトップスター音月桂が放つ“輝き”の一瞬一瞬を、永遠に刻みつけた作品。躍動して駆け抜けるダンサーたち一人ひとりの情熱が、客席に熱い風を送り、感動的な舞台を創りあげました。
2014年 月組公演
ショー・ファンタジー
『CRYSTAL TAKARAZUKA-イメージの結晶-』
「ショーはイメージの結晶」というコンセプトのもと、“情熱の結晶”“虹の結晶”“夢の結晶”などのシーンで構成した、ダンス中心のエネルギッシュなショー。まさにクリスタルのようにキラキラした月組の魅力が存分に発揮された作品となりました。