制作発表会レポート
1月23日(月)、宝塚歌劇星組公演 ミュージカル『THE SCARLET PIMPERNEL(スカーレット ピンパーネル)』の制作発表会が行われました。
宝塚歌劇団理事長・小川友次、潤色・演出を担当する宝塚歌劇団演出家の小池修一郎、今作が宝塚大劇場・東京宝塚劇場お披露目公演となる星組新トップコンビ、紅ゆずる・綺咲愛里、そして礼真琴の出席のもと、フレッシュな星組の熱気に満ちた制作発表会となりました。
新生星組は待望の名作の再々演で華やかに開幕!
「THE SCARLET PIMPERNEL」は、1997年にブロードウェイで初演後、大ヒットを記録したミュージカル。日本での初上演となった2008年の星組公演は、フランク・ワイルドホーン作曲の名曲の数々と共に、冒険活劇としての面白さ、すれ違う夫婦の心理描写をドラマティックに描いて絶賛を博し、第16回読売演劇大賞優秀作品賞、第34回菊田一夫演劇大賞を受賞しました。続く2010年の月組による再演も大好評を得た傑作ミュージカルが、7年振りに宝塚歌劇の舞台に甦ります。新トップコンビ、紅ゆずると綺咲愛里を中心とした新生星組が挑む『THE SCARLET PIMPERNEL』の新たな1ページに、どうぞご期待ください!
名場面の再現に高まる期待!
主人公パーシヴァル・ブレイクニー(通称パーシー)に扮した紅ゆずるの毅然とした姿がスポットライトに浮かび上がると、パフォーマンスがスタート。パーシーの秘めたる情熱と決意を語る名曲「ひとかけらの勇気」に、会場からは拍手がわき起こりました。
続いて、主人公の敵役ショーヴランを演じる礼真琴が、たぎる情熱を乗せて「鷹のように」を歌います。
そこに、華やかな衣装に身を包んだマルグリット・サン・ジュスト役の綺咲愛里が登場すると、「謎解きのゲーム」の始まりです。
綺咲と礼の歌に紅も加わり、三者三様の感情を吐露します。誤解から心がすれ違うパーシーとマルグリット夫婦、そして元恋人マルグリットへの未練が断ち切れないショーヴラン。三人のもつれた感情、それぞれの心情がドラマティックに歌い上げられると、会場は一気に物語の世界に引き込まれ、この作品への期待は最高潮に達しました。
数々の名曲に乗せてお届けするミュージカル『THE SCARLET PIMPERNEL』。青年貴族パーシーと彼を取り巻く人々の思いが幾重にも交錯するこの壮大なストーリーに、星組新トップスター紅ゆずる率いるフレッシュな面々が挑みます。星組の新しい歴史の幕開きを、どうぞお見逃しなく!
- 制作発表会 ムービー
パフォーマンスを終えた紅ゆずる、綺咲愛里、礼真琴が公演にかける思いを語りました。
星組トップスター 紅 ゆずる
「パーシーは、自分の身を危険にさらしてでも人を助けようとする正義感と、人の目を欺くためとは言え社交界で道化のような振る舞いをする、二面性を持った男性ですが、私自身の中にも二面性はあると思いますので、その部分を活かして演じたいですね。そして、正義や理想について悩み始めるパーシーの、そこに至る思いや、わざと慇懃無礼な振る舞いをしてみせたりする理由、それらには彼が育ってきた環境やバックボーンが影響しているものと考え、その部分を掘り下げながら役創りに励みたいと思っております。」
星組トップスター就任にあたって
「私は初舞台からずっと星組で、星組しか知りませんが、だからこそ星組の伝統や良さは人一倍知っていると自負しています。今まで歴代の素晴らしい上級生の方々が教えてくださったことを、次は私が下級生に伝えていく立場に立たせていただいたと、身の引き締まる思いです。トップコンビの空気感は組子全員に伝わるものですから、私と綺咲のコンビの存在が良い形で下級生たちに影響を与えられるような、そのような存在でありたいです。」
星組トップ娘役 綺咲 愛里
「マルグリットは一本筋の通った芯の強い女性だと感じております。そんな彼女も、パーシーと気持ちがすれ違って心が揺らいでしまうのですが、その過程の心の微妙な動きなど細かい部分もしっかりお芝居で表現していきたいと思います。小池先生のご指導のもと、お稽古でたくさんのことを学んで、日々精進して参りたいと思っております。」
星組 礼 真琴
「ショーヴランの持つ野心や信念は少し残酷なものではありますが、パーシー同様に、彼にも彼なりの正義感があると感じております。そういった人間としての感情、マルグリットへの愛やそれを諦めきれない愚かしさのような、人間としての豊かな情緒をうまく表現して、面白い役にできるよう頑張りたいです。この作品はチームワークが求められる大勢のコーラスや重要な群舞の場面が数多くありますので、まずは紅さんと綺咲が心地いいと思えるような地盤を作っていきたいと思います。」
宝塚歌劇のみならず、今や現代日本のミュージカル界を代表する演出家として数々の海外ミュージカルを手掛ける小池修一郎。2008年の星組公演『THE SCARLET PIMPERNEL(スカーレット ピンパーネル)』ではその巧みな潤色・演出の手腕を発揮し、日本で初めて上演されるブロードウェイミュージカルと宝塚歌劇とを見事に融合させ、大好評を博しました。2010年の月組での再演に続き、新しい門出を迎える今回の星組ではどんな『THE SCARLET PIMPERNEL』が生み出されるか、期待が膨らみます。
新たな『THE SCARLET PIMPERNEL』に期待
小池 修一郎
「紅ゆずるは2008年の星組公演『THE SCARLET PIMPERNEL』で初めて新人公演の主演を務め、大変好評だったということもあり、このパーシーという役は彼女にとって極めて大切な役ではないかと思います。このことは、今日新トップスターとしてここに出席していることにも繋がっているのでしょう。新人公演主演の頃の彼女を思い起こしてみますと、本当によくここまで成長してくれたと感慨もひとしおですね。彼女の大らかさやコメディセンスが多くの方に支持されていることはご存知のとおりですが、先程の制作発表会でのパフォーマンスを見て、私が感じたのは、意外と、憂いのある雰囲気も彼女の魅力なのではないかということです。ユーモアと憂いという二面性を上手く使い分け、お客様を楽しませながらも、作品の本質をきちんとつかんで演じることができるだろうと期待しています。
また、紅の相手役としてトップ娘役に就任した綺咲愛里も、一見現代的な雰囲気ではありますが、実は非常に艶やかな一面を持ち合わせています。
紅・綺咲は、これまでの宝塚歌劇のトップコンビとは少し異なるイメージがあるようにも見えますが、実は宝塚歌劇らしい大人っぽい作品が似合うコンビだと実感しております。加えて、実力派のフレッシュな男役・礼真琴が、ショーヴランという男のたぎる情熱をしっかり表現してくれることと思います。私自身、新生星組の『THE SCARLET PIMPERNEL』をとても楽しみにしています。
『エリザベート』もそうですが、宝塚歌劇の出演者たちは与えられた役を自分自身で一から構築し、必死に役創りをして、同じ役でもそれぞれ全く違う印象に仕上げてくれます。ですから、作品の再々演にあたり、私が意図的に道筋を変えるのではなく、その役を全うした結果、彼女たち自身の手によって、また新たな『THE SCARLET PIMPERNEL』が生まれるだろうと確信しております。」