制作発表会レポート
3月7日(水)、宝塚歌劇雪組公演 かんぽ生命 ドリームシアター ミュージカル・プレイ『凱旋門』—エリッヒ・マリア・レマルクの小説による—、かんぽ生命 ドリームシアター ショー・パッショナブル『Gato Bonito‼』~ガート・ボニート、美しい猫のような男~の制作発表会が行われました。
制作発表会には、公演にご協賛いただく、株式会社かんぽ生命保険 取締役兼代表執行役社長・植平光彦様をはじめ、宝塚歌劇団理事長・小川友次、演出家・振付家の謝珠栄氏、宝塚歌劇団演出家の藤井大介、専科の轟悠、雪組トップスター・望海風斗、雪組トップ娘役・真彩希帆が登壇し、ご挨拶申し上げました。
名作、待望の再演。華やかなラテン・ショーとの胸躍る二本立て!
第一幕の『凱旋門』は、2000年に雪組で初演。第二次世界大戦前夜のパリを舞台に、過酷な運命に翻弄されながらも懸命に生きる人々の姿を描いた物語です。今公演は、初演時に主演を務めた専科の轟悠と、今勢いに乗る望海風斗率いる雪組との共演も話題となっています。
一方、第二幕『Gato Bonito!!』は、美しい猫からイメージされる姿を個性豊かな雪組生たちに重ね合わせ、バラエティに富んだ場面で構成される華やかでドラマティックなラテン・ショー。
傑作ミュージカルの待望の再演と、エネルギッシュな雪組の魅力に満ちあふれたショーの2作品をお届けします。
珠玉の旋律に乗せた、名場面の再現
制作発表会は『凱旋門』のパフォーマンスから始まりました。
暗い舞台に光がさすと、ラヴィックに扮したスーツ姿の轟悠の姿が浮かび上がり、この作品で作曲を手掛けた、故・寺田瀧雄の名曲「雨の凱旋門」を披露。ジョアン・マヅーに扮した真彩希帆も加わり、絶望の中に見出した愛を、しっとりと歌います。
続いて、グレーのコートに身を包んだボリス・モロゾフ役の望海風斗が登場。作品内でも印象深い楽曲「いのち」で自由への希望、平和への祈りを高らかに歌い上げます。そこに、轟、真彩が加わり3人による熱の入ったパフォーマンスに、会場の期待も一気に高まりました。
なお、今回の再演を記念して、来たる5月7日(月)、宝塚大劇場において、『凱旋門』前夜祭を開催することが決定いたしました。初演時にボリス役を演じた香寿たつきさん、ジョアン役を演じた月影瞳さんをゲストに招き、『凱旋門』再演へのカウントダウンを盛り上げます。
6月8日(金)に初日を迎える雪組公演『凱旋門』と『Gato Bonito‼』は、胸に迫る名作ミュージカルと、情熱的でドラマティックなラテン・ショー、充実の2本立てです。
宝塚大劇場・東京宝塚劇場公演、そして前夜祭にもどうぞご期待ください!
- 制作発表会 ムービー
パフォーマンスの後、専科の轟悠、雪組の望海風斗と真彩希帆が公演にかける意気込みを語りました。
専科 轟悠【ラヴィック】
「18年ぶりに『凱旋門』が再演されると伺ったときは、本当に驚きました。私はこれまでどの作品に対しても誠心誠意、魂を込めて取り組んできました。そのなかでも『凱旋門』は、あらためてお芝居の楽しさを感じた作品です。初演と同じラヴィック役を演じるにあたり、初演からの18年の間に積んだ経験や得た感覚をいかして、取り組んでまいりたいと思っております。これまで望海と真彩の舞台を観て、実力も高く、色気のある舞台人だと感じていました。今回、とても素敵な男役である望海と、一役者同士として正面からぶつかり合う機会を得られたことを、本当に嬉しく思っています。また、寺田瀧雄先生の素晴らしい曲を、大切に歌い継いでいきたいと思います。大勢の方から高い評価を得ている作品ですので、雪組の皆とともに、一層良い作品にできるように頑張ります。」
雪組トップスター 望海風斗【ボリス・モロゾフ】
「『凱旋門』では、轟さんが演じられるラヴィックの友人、ボリス役をさせていただけることが本当に嬉しく、とてもワクワクするとともに、元雪組トップスターの轟さんと、『凱旋門』を今の雪組で再演させていただけることを、大変光栄に思っております。轟さんが持っていらっしゃる世界観や、すべてを受け止めてくださる器の大きさを感じ、私も遠慮していてはいけないなと気持ちを新たにしています。一緒にお芝居をさせていただくのは初めてですが、轟さんの胸に飛び込むような気持ちで頑張りたいと思います。『Gato Bonito!!』では、“今の雪組でラテン・ショーをやりたい”という夢が叶えられて嬉しく思っています。雪組生が舞台上で、猫のように情熱的に踊り、駆け回り、飛び跳ねる姿を、ぜひ楽しみにしていただきたいです。両作品ともに、どうぞご期待ください。」
雪組トップ娘役 真彩希帆【ジョアン・マヅー】
「まさか『凱旋門』の再演で轟さんの相手役、ジョアン役を務めさせていただけるとは思っておりませんでした。今は大変緊張しておりますが、お稽古や舞台を通して、一つでも多くのことを学ばせていただきたいです。寺田瀧雄先生が作られた曲も、聴くたびに素敵だなと感じていたので、歌わせていただけることがとても嬉しいです。これからお稽古していく中で感じるものを大切にして、想いを込めて歌いたいです。そして、『Gato Bonito!!』ですが、ラテン・ショーの出演は初めての経験となりますので、とても楽しみです。いろいろな面をお見せできるよう、両作品ともに、精一杯お稽古してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。」
『凱旋門』の演出・振付を担当するのは、宝塚歌劇団のOGでもあり、数々の舞台の振付・演出を経験し、高い評価を受ける演出家の謝珠栄氏です。宝塚歌劇の演出も数多く、『凱旋門』初演では柴田侑宏の脚本をあざやかな手法で表現し、好評を博しました。
“命”の大切さを伝えたい
謝 珠栄氏(演出・振付)
「“名作”と言っていただける『凱旋門』の18年ぶりの再演に、とてもプレッシャーを感じております。
轟さん演じる医師ラヴィックは、孤独な亡命生活を送る中でジョアンという女性に出会い、激しく愛を求められることによって生きる希望を見出します。人は死の影を感じた時、生きることに対する憧れを抱くものだと思うのですが、暗闇が迫りつつあるパリで懸命に生きる人々のそういった姿を描き出したいと、強く思っています。初演からキャリアを重ねて、さらに成熟した魅力が増した轟さんが、今回はどのようにラヴィックを演じられるのか、非常に楽しみです。
望海さん演じるボリスは、クールに見えて、本質的にはラヴィック同様、人間味あふれる男性で、そこが魅力なのではないかと思います。だからこそ、ラヴィックに魅力を感じて客観視しながらも寄り添っているのではないでしょうか。そんなボリスの気持ちを望海さんの歌で綴ってもらいたいと、柴田先生と相談しながら新しい演出を考えているところです。
不穏な空気が漂う時代のパリを舞台とした作品ですが、現代にも通じるものがあると思います。少しでも“命の大切さ”をお伝えできたらと思っております。」
また、『凱旋門』で脚本を担当する柴田侑宏からメッセージが寄せられました。
柴田 侑宏(脚本)
初演時、第二次世界大戦前のパリの、暗く重くせめぎあった時代の中で、青年たちがどのように感じ、考え、動き、生きたか・・・・という世界観を、宝塚の舞台に乗せればどのような広がりを見せることができるかという興味から、この作品に取り掛かったことを覚えております。
今回再演するにあたり、主演のラヴィック役の轟は、18年前と同じ役を演じることをどのように感じながらやっていくか、何も恐れない男としての魅力、微妙な心の動きを今、どんな風に表現するのかを期待したいと思います。
また今回雪組トップの望海が友人ボリスをやるにあたり、役を初演より膨らませ、ナンバー等も増やす予定です。
男女の機微とは無関係な生き方をする生粋の男としての色気を出していただき、望海が息づくことで作品の重みや奥行きがさらに深まればと思っております。
恋人役のジョアンは宝塚の娘役としては少し異色の難役ではありますが、役者として包容力の十分ある真彩には、繊細に、でも楽しんで演じてもらいたいと思います。
そして今回も演出を担当していただく謝先生は緻密な心理描写と相まって、人間の奥深い心の底を揺り動かすダイナミックな演出で、ご観劇のお客様の心を凱旋門の世界にいざなってくれると思っております。
最後に、初演のイメージ・良さを活かしつつも、今再演するというところの意義も鑑みた『凱旋門』にしていけたらと思っておりますので、宜しくお願いいたします。
『Gato Bonito‼』の作・演出を手掛けるのは、オリジナリティあふれるテーマで数多くのショー作品を生み出し続ける藤井大介です。今作のテーマはラテン。熱い雪組が情熱的なひと時をお届けします。
望海風斗の個性をいかした、パッショナブルなラテン・ショー
藤井 大介(作・演出)
「“ガート・ボニート”とはポルトガル語で“美しい猫”という意味で、ズバリ雪組トップスター望海風斗にあてた言葉です。望海が花組にいた頃、一緒に仕事をする機会が多く、その頃からクールでビューティーでナイーブでセクシー、そしてミステリアスなのに、内には情熱を持っているという印象があります。そんな彼女の印象が僕の中で猫とマッチングしたので、猫をテーマにしたショーを創ってみようと思いました。猫から受けるさまざまなイメージをつなぎ合わせて、バラエティに富んだ楽しいショーにしたいと思っております。
真彩希帆は元気で明るいイメージですが、実は大人の女性の色気を秘めた娘役だと感じています。今回は、今まで見せたことのない大人の表情を見せてくれるのではないかと、楽しみにしています。
『凱旋門』は文芸大作のような重厚なお芝居ですので、『Gato Bonito!!』は少し遊び心をもった楽しい作品にする予定です。望海と真彩を中心に、雪組の個性豊かな面々の魅力を存分に引き出して、ラテンのギラギラした熱いショーを創りたいと思っております。夏の暑い時期の公演ですが、舞台も負けじと熱く、パッショナブルなショーにできるよう努めますので、どうぞよろしくお願いいたします。」